ゾゾテクノロジーズなど 西陣織から先端テキスタイル

2021/04/20 06:28 更新


 ゾゾグループのゾゾテクノロジーズは、東京大学大学院情報学環筧康明研究室、西陣織の細尾と組み、外部温度で色が変化する織物や紫外線で硬化する織物など伝統工芸と先端技術を組み合わせたテキスタイルを開発した。

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 ゾゾテクノロジーズとしてテキスタイル開発に取り組むのは今回が初めて。「ファッションの楽しみを広げる中で、服の構成要素の基本がテキスタイルということもあり、機能だけでなく見た目にもこだわったゾゾらしい視点で開発に取り組んだ」

 環境情報を表現する織物もしくは環境情報そのものが織り込まれた織物を開発し、例えば周囲の温度で生地の色が変わる感温素材「Wave of Warmth」は、特定の温度で色が変化するロイコ染料を紙に塗布し、箔(はく)と同じ要領で裁断した紙糸を西陣織の技法で織り込んだ。

 水の中でたゆたうテキスタイルの動きを表現した「Memories of Flow」は、UV(紫外線)硬化剤を緯糸に織り込んだチューブに入れたテキスタイルを水に入れ、水中でUVを照射し生地を硬化した。そのほか、チューブの中に綿糸を通した緯糸の両端を染料と水につけることで浸透圧の関係で染料が移動、色が変化し続ける「Drifting Colors」や、有機ELやPDLC(高分子分散型液晶)を織り込んだテキスタイルなども開発した。

 これらの織物は壁紙やソファなどインテリアテキスタイルとしての応用も見込まれるという。また、今回の開発では素材や材料に先端技術を使いつつも、織物生産工程については従来からあるものを活用した。大規模な設備投資をしなくても、既存の産地で新しいテキスタイルが可能であると示すことも狙いの一つだ。今後もテキスタイル開発を続けていく方針で、織物やニットなど日本国内の産地との連携や、ファッションデザイナーとの協業も視野に入れる。

 これらの織物を披露した展示会「アンビエント・ウィービング―環境と織物」は、7月18日まで京都のHOSOOギャラリーで開いている。

織物の文様は細尾のコレクションから引用し機能と意匠性を両立


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