百貨店が消えた山形市 「レトロで新しい」が街の顔に

2024/01/24 14:00 更新有料会員限定


 日本で最初の「百貨店がない」都道府県となった山形県。20年1月に地域住民に愛されていた大沼が閉館し、本店のあった山形市内の回遊は一気に減った。そんな山形市で今増えているのが、リノベーションした店や複合施設だ。歴史的建造物を保存・活用したスポットが生活を豊かにしている。

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使って未来に残す

 山形は天災や戦火による被害が少なく、歴史的に価値のある建造物が数多く残っている。市はそれを保存するだけでなく、活用することで、昔の風景とモダンな機能が調和する街へと改革を進めている。

 山形県は山形国際ドキュメンタリー映画祭や県民芸術祭を毎年開催するなど、芸術の香り高い地でもある。その山形のクリエイティビティーが、再開発を推し進めている。

蔵や医院を改装

 山形市の商業の中心は、もともと大沼の本店もあった七日町。山形駅から徒歩20分の少々不便な立地だが、アパレル店や雑貨屋、飲食店が立ち並ぶ。

 その中で、観光スポットとして人気を集めているのが「七日町御殿堰」だ。400年前に造られた御殿堰の一部を整備して開業した。木造建築の母屋に老舗の茶屋や呉服店、カフェが店を構える。

 同エリアの奥にある蔵をリノベーションして営業しているのは、島根県・石見銀山のふもとに本社と本店のある「石見銀山 群言堂」。「根のある暮らし」をコンセプトに衣、食、住、美にまつわる商品を企画・販売している。七日町御殿堰開発の結城康三社長と、群言堂を運営する石見銀山生活文化研究所の松場大吉元会長が、それぞれの地元に対する愛や古い街並みを生かして未来を創造する心に共鳴し、16年にオープンした。

蔵をリノベーションした「石見銀山 群言堂」山形御殿堰店

 蔵の間仕切りを取り払った開放的な空間に、オリジナルの衣料や雑貨、暮らしを豊かにする物が並ぶ。服は国内で生地にして縫製した天然素材のものが中心だ。

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