最近、複数の個店専門店に共通して、靴が集客に貢献していることに気付いた。サイズ別に在庫を持つ負担はあるが、リアル店舗で販売する価値の大きいアイテムなのだと実感する。
ECで購入できても「サイズを確かめたい」のが消費者心理。ある都内の専門店のオーナーは、扱っていた長靴の人気が高まり、試し履きの来店者が後を絶たなかった経験があると苦笑する。その店は生活雑貨を主力にするが、昔から柔らかな履き心地の革靴の需要がある。利用する地元の客は身近に購入できる便利さに加え、「大きな商業施設に行っても、納得のいく履き心地の靴を見つけるのは難しい」事情があるようだ。
地方都市の専門店にはさらにチャンスがある。人気のスニーカーブランドは、催事販売で滞在費を差し引くと利益を出すのは難しいと判断し、地域に根差す専門店に専用什器で商品を供給している。販売手数料の商売だが、来店客が自分に合ったサイズを試着できる環境が整う。一般ユーザーにとっては、都心の直営店に行かなくても、試せる、体感できることが満足につながる。それは人の体を支える靴ならではの強みなのだと思う。
(渉)