世の中の価値観はどんどん変化して複雑になっている。以前は公然と批判されなかったことも、今は批判の的となり、時には炎上することもある。「ダイバーシティー(多様性)の時代」と言いながら、批判される側の価値観をいったん受容することなく、一方的に切り捨てていいのか――。なんだかモヤモヤすることも多い。
繊維業界でいえば、品質や生産・管理手法などについて様々な国際基準があって、その基準を満たさなければ海外市場、とりわけ欧米で通用しないという話は多い。例えば、日本の染色加工技術はきわめて高いレベルとされるが、「薬品の規制が進むといろんな国際認証を取りづらくなる」との指摘がある。
「だけどがっかりしないで」というのは、国際的な潮流に詳しいAさん。「日本企業には安全基準がちゃんとあり、しっかり管理している。業界団体で意見をまとめて国際的に堂々と主張してみては」と話す。
国際基準とはいえ、公正・公平、万能ではない。異なる価値観を投げかけ、すり合わせることで磨かれていくはず。主張がなければ考えるきっかけすら作れず、偏った価値観にただ飲み込まれてしまう。
(嗣)