《視点》書店減少

2023/11/02 06:23 更新


 街中の本屋さんが減っている。出版科学研究所によると、03年に2万880あった日本の総書店数は、22年には1万1495まで減少した。しかし、同じ期間で総売り場面積は減っていないので、中小規模の書店が無くなっていることが想像できる。確かに自宅や会社近くにあった小さな書店がここ十数年に無くなっている。聞くところによると、「書店ゼロ」の自治体は全国で30%近くあるという。

 活字離れやネット購買の浸透などが原因だが、気軽に文化に触れる機会が減ってしまったことを残念に思う。知らない本との思わぬ出合いが減っただけでなく、フロアを巡りながら、知的好奇心とクリエイティビティーを刺激される感覚もめったに得られなくなった。

 ファッションもそう。商業施設では空き店舗が目立ち、街中にあったこだわりの専門店・路面店が減った。おしゃれな空間に身を置いてカッコ良さ・美しさ・可愛らしさへの憧れや渇望が増す感覚を得づらくなった。便利さと引き換えに、失ったものが意外と大きかったことに、今さらながら気付く。

(潤)



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