SDGs(持続可能な開発目標)というと、日本ではもっぱら「環境」問題ばかりに関心が向く。確かに、温暖化による世界的な気候変動は、すでに私たちの生活に大きな影響を与えている。地球全体の大きな課題であることは間違いない。しかし、世界的な流れを見ると、「人権」も大きな課題と考えられており、日本は残念ながら取り組みが立ち遅れている。
人権というと、アパレル業界で言えば生産国である発展途上国での問題と考える人も多い。しかし、実際には先進国においても解決が必要だ。日本では外国人技能実習生問題がすぐ頭に浮かぶ。特に海外から批判が強いことは言うまでもない。最近では、難民認定をめぐって出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正が大きな議題になった。
国内における外国人の人権問題だけではない。例えば、日本のジェンダー・ギャップ指数は過去最低の125位にまで落ちこんだ。性的少数者を守るべきLGBT理解促進法に対しては、当事者や支援団体から不安や批判も出ている。改めて見ていくと、自分たち自身の身近な人権問題の深刻さが分かる。
こうした問題は「人権リスク」とも言われ、国際社会のなかで今後、批判が強まっていく。ファッションは本来、社会の変化そのものを指す。この産業からまず変わっていくべきだろう。
(矢)