着なくなった服は燃えるごみで捨てる。住んでいる地域のルールにのっとって捨てているわけだが、昨今の風潮を意識すると、大きな声では言いにくい。日ごろからサステイナブル(持続可能)に関わる取材が多い立場なのでなおさらだ。
だから罪悪感もある。言い訳すると、長く、大切に使っている。そもそも捨てられない性分。短くても3年程度、長いと20年近く使い続けている。捨てる時には「ごめんなさい」「ありがとう」。自己満足だけど、これで捨てる時の罪悪感はちょっとだけ和らぐ。
できればリユース業者やフリマサイトで買い取ってほしい。それがだめなら、回収ボックスに入れたい。中古衣料の処分には色々な選択肢が出てきたものの、現状は買い取ってくれたり、回収してくれたりする中古品は限られている。そんなわけで、やっぱり捨てる物にコストや労力はかけられないのが本音。ごみとして処分する方法が楽だ。
企業はそうはいかない。回収と分別、そこにかかるコストの問題、法律上の問題など、それぞれの課題が重く、多い。よく描かれるような服のサーキュラーエコノミー(循環型経済)はシンプルにはいかない。私たち消費者は、数々の企業努力が実を結び、罪悪感を救ってくれるような手軽な選択肢の実現を期待し、応援しつつ、せめて少しでもごみを減らす、適切に処分する意識を徹底したいものだ。
(嗣)