《視点》ガイドライン

2022/10/21 06:23 更新


 ガイドラインとはルールや法律、規程などの守るべきことについて、どう行動すればよいのかの指針を記したもの。日本繊維産業連盟(繊産連)は、ILO(国際労働機関)駐日事務所と共同で「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」(企業行動ガイドライン)を策定した。

 繊産連は「国際社会では、繊維・ファッション産業は事業規模の大小を問わず、人権の尊重、環境の保護など持続可能な産業への変革に貢献することが産業全体で求められている」と指摘。国際的にも注目される「責任ある企業行動」(レスポンシブル・ビジネス・コンダクト=RBC)の重要性を提起し、RBCの中でも、昨今注目が高まる人権問題、特に労働問題に焦点を当てているのが特徴だ。

 しかし、企業行動ガイドラインには罰則規定は無い。あくまで〝指針を記した〟もの。具体的な実践は、企業の自主的な行動に任されている。業界からは「ガイドラインを具体的に実行するとコストアップ要因になる」との声も少なくない。

 企業行動ガイドラインでは、人権を重視する経営は「より良い人材の確保や生産性の向上、良好な取引関係などを通じて、企業の安定的成長と自社の社会的評価の向上につながる」とする。日本の繊維産業が魅力あるものに脱皮できるのか試されている。

(民)



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