《視点》支援? 補償?

2022/10/20 06:23 更新


 「〝支援〟ではなく〝補償〟と呼ぶ方がふさわしい」。パキスタンのある大学准教授がメディアを通じて出したコメントの一部だ。同国で発生した大洪水による甚大な被害は各メディアで報じられている通り。

 これに対し、日本も含めて支援を表明する国々もあるわけだが、同氏は「支援というとあたかも善意で寄付しているようだが、パキスタンは先進国や大国の持続不可能な経済成長の代償(気候変動による自然災害)を自国民の血で支払っている」などと主張した。

 地球温暖化の問題をめぐっては、たびたび先進国と途上国の間で負うべき責任の公平性について対立が起こる。多くの途上国は自然災害に対してぜい弱。経済活動による環境負荷の小ささに反して被害は大きい。気候変動に基づく自然災害だとしたら、この主張はもっともだと思う。

 世界は複雑につながり合っていると改めて感じた。個人も企業も国も行動の一つひとつが環境や社会にどのような影響を与えうるのか、万が一問題が起こった時に相応の補償ができるのか。社会的な責任を果たすことが強く求められ、社会の監視も強まっている時代。見て見ぬふりはますますできなくなるだろう。

(嗣)



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