《視点》自分をめでる消費

2022/04/20 06:23 更新


 今春、商業施設でフェムケアや生理など女性の健康に着眼したイベントがいくつか開かれた。イベント以外にも、レディス企業でこの間、フェムケア商品を開発する例が散見される。背景について自分なりに仮説を立てた。例えば、多様化。この数年、日本でもジェンダーへの考え方が柔軟になりつつある。個性を尊重する時代の流れのなか、女性特有の健康課題を当事者が周囲に共有、発信しやすい環境が整ってきたと見る。変化のきっかけはコロナ禍だと思う。視点をどこに置くかで見方が変わってくるが、家で過ごす時間が増え、ゆとりができた人は多いはずだ。そこに、自分を大事にしようとのムーブメントが生まれた。

 この2年のレディスのマストレンドを振り返れば、リラックスをキーワードにした服が多くのブランドで作られた。一方で、襟や首回りにデザイン性のあるブラウスが売れ、ボリューミーなシルエットのフェミニンなドレスも一部で見られた。お守り感覚で身に着けられるアクセサリーもヒットした。

 一見、それぞれ異なる潮流のようだが、記者の見解では、いずれも根底にあるのは同じ。それは、気分が高揚するかどうか。フェムケア商品もリラックスウェアも、デコラティブな服も、アクセサリーも自分をめで、解放する思いから突き動かされている消費だ。

(麻)



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