某アパレル企業の企画担当者と話した時のこと。「ロードバイクを始めたい」という中学生の息子を応援しようと思ったら、初心者とは思えない車種をいきなり選んできたそうだ。「ネットやユーチューブで器用に情報を調べ上げる。こちらも負けないようにしないと」と複雑な表情。
最近「若年層が複数で来店する場面が目立つ。しかもみんな同じような格好」という話をいくつかのメンズセレクト店で聞いた。探ってみると、新しいファッションに挑戦したいが、不安があって複数で来ているのでは、という見方が多い。
情報をまず調べてから、服屋に足を運ぶ人が増えた。若年層はなおさらだろう。だが、その先の情報は、ネットを調べてもなかなか多くは見つけられない。不安が残るから集団行動に向かわせているのかもしれない。
コロナ禍で行動が制限されるなか、気の合う仲間と安心して買い物を楽しみたい若者が増えたのだろうか。コロナに関する報道の中には、外出する若者を非難するようなものもある。ファッション業界の未来のためにも、若者を温かく見守り、育むという役割は大切にし続けて欲しい。
(畔)