先日、鉄道写真家が鉄道写真を撮るためにタイを縦断する番組の再放送を視聴した。写真の素晴らしさもさることながら、車中や下車した町の人々との触れ合いに感心した。写真家のキャラクターもあるが、番組に出た現地の人たちすべてが、見ず知らずの外国人の問いかけに笑顔で優しく応えるのだ。一面的だが、さすがほほ笑みの国だと思った。
「多様性と調和」という東京五輪の理念に欠ける組織委員会トップの発言が取りざたされて、何日も世間をにぎわした。結局は会長が交代したことで沈静化したように見えるが、あの発言に至る思考は、決して個人の特質だけにとどまるものではない。
多様性とは異なる考えが多いというだけでなく、それを受け入れることに本質がある。だが、見栄や自尊心が受容を難しくさせる場面は多い。だからこそSDGs(持続可能な開発目標)にジェンダー平等実現や、人や国の不平等をなくすことが設定されたのだ。しかし、写真家のタイでの交流の姿に、心一つで簡単に解決できるということも改めて教えられた気分になった。
(樹)