《視点》性差

2020/12/08 06:23 更新


 プライベートで建築士と話す機会があった。新人教育も担当し、新卒採用の面接もこなすという。いわく「採用過程においては明らかに女性の方が優秀」。おしなべて筆記試験の点数は良く、落ち着いているし、質問への返答も的確。逆に男性は自己PRを延々と話したり、「浮足立っている」と苦笑していた。

 ただし、人事からは「複合的に見て判断を」と釘を刺されているという。その企業では、例えば受け答えの巧みさを「女性の〝特性〟として捉えるように」と指示されている。逆に男性のつたない応答もありがちということか。これは「性差」と呼べばいいのだろうか。

 確かに生物学的以外での、職業適性や価値志向、心理的差異などで性差は少なからず存在しているように見える。しかし、ジェンダーレスという言葉が社会に定着した今、性差の議論は何となく窮屈になりつつある感がある。だらこそ、性差の存在を認めている先の面接の話は印象に残った。

 ファッションとジェンダーレスはつながりが深く、関連のブランドも出ている。その本質は果たして何なのか。今一度、考えて良いのかも知れない。

(森)



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