《視点》「共感」と「美」の感性

2020/05/13 06:23 更新


 4月に傘メーカー2社の社長と会った。新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、傘の中国生産はほぼ100%回復していたこともあり、二人の一番の関心事は「終息後の世の中はどのようになっているか」だった。

 話のなかで二つの言葉が共通した。一つは「共感」だ。これからは企業哲学や商品背景への関心や共感が一層求められるという。当たり前の暮らしが当たり前ではなくなってしまった今、物事の本質や、個と社会、人と人とのつながりを見つめ直す機会になっている。そうした経験を経て、モノだけではなく、非物質的な価値、とりわけ「共感」が重要になってくるのではないかということのようだ。

 もう一つは「美」。美しい物への感性だ。背景にあるのは、良質な傘を安く供給する仕組みがいよいよ限界だとの危機感。利幅が薄いために十分な設備投資ができていない現状や、それが地球環境に及ぼしている影響、雇用など様々な面でのひずみが、コロナ禍を機に避けられない問題として露呈された。

 解決の一歩は、多少値が張ってもその価値に納得してもらい、一度購入した傘を長く使ってもらうこと。それには、自然と愛着が湧き、大事にしたいと思える〝美しい〟傘を作る努力が不可欠という。

(麻)



この記事に関連する記事