先日あるセミナーで興味深い話を聞いた。アパレル販売員の社割購入と自社商品の値崩れの関係性だ。
講師によると「一般的に給与が低いとされる販売員にとって、店頭で着用する服を購入するのは、社割が効いても負担に変わりない。次々と新作を着続けなければならない販売員は『メルカリ』や『ヤフオク!』に転売してしまう。これがブランドの価値を下げ、値崩れにつながる」という見解だった。「社割購入が負担となり、アパレル業界の人材離れの一因になっている」とも指摘した。従業員の服装に関する規定は各社各様だと思うので、一概に「社割が悪」とは言えないが、講師の意見には賛同する部分が多かった。
そもそも、働き手が店で着用を義務付けられている服を購入しなくてはいけないのだろうか。制服として貸与すべきだろう。従業員が着用すべき服は、MDやVMD、店頭の売れ行き状況などと連動して、本社側が指定する方がブランドイメージの統一にもつながる。人材獲得のヒントは、今の従業員の不満の中にあるかもしれない。
(友)