19~20年秋冬の服地商戦が始まり、服地コンバーターの企画担当者は「アパレル向け企画提案のタイミングが年々早まっている」という。意匠素材を中心に国内産地の生産キャパがタイトになっているため、早めないと売り逃しにつながる。アパレル側の認識も同じとしつつも、一方で「受注が決まるタイミングは遅くなっている」ことから、ジレンマを増幅させている。
売れ筋不在とされる市場で、デザインしてアイテムを広げるアパレルのリスクは高くなり、「安易に冒険できなくなっている」実状がある。今の店頭の結果が出る前に次の企画を決めても、市場の流れによって変更もあり得る。
しかし、服地産地の中には「企画・発注の早期化がリスクを減らす」とし、引き付け型の発注を疑問視する機業場もある。早期化が緊張感を生み、物作りを良い方向に刺激するという発想だ。デザイナーが生産管理も担って早期発注するブランドもあるという。
分業体制の物作りに依拠するブランドはまだまだ多い。業界全体として改めてリスク分散や企画と発注の早期化を議論する必要に迫られている。
(阿)