《視点》足を運ばせるもの

2018/09/26 06:23 更新


 記録的な猛暑、大雨、台風、地震と天災続きの夏だった。全産業的に、売り上げが伸びない理由にこれら天災を挙げるところも少なくない。

 8月上旬にアンケートサイトを通じて、全国の個人経営の婦人服店を中心に約150店に対し、この春夏の商況を調査したところ、前年同期比で売り上げが伸びたと答えた店の数が、近年では最も多かった。売れない理由を天候のせいにはどうもできないようだ。

 個店の好調店にはいくつかの共通点がある。取引条件は買い取り中心。セール販売比率が少ないか、しない。取扱商品はバイヤーが強い個性を認めるものである。価格や売れ筋に関係なく魅力を感じ、「売りたい」と強く思う商品が、結果的に「売れた」ように見える。

 実店舗の不振理由は気候だけでなく、ECの成長に伴う客離れを挙げる経営者も多い。もしそうだとすれば、それは客が店に足を運んで得られる満足よりも、ECの利便性が優っているからだ。足を運ばせるだけの価値は、強い個性が放つことを好調店は物語る。

(樹)



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