《視点》軽量傘

2018/09/11 06:24 更新


 今春夏、傘売り場が活気づいた。「傘の買い替えサイクルは3年。今年はその当たり年で、天候要因も後押しした」。傘といっても機能・用途やデザイン、素材は様々。なかでも消費者の関心は〝軽量傘〟に集まっているようだ。

 売り場でも、軽量をうたうPOP(店頭広告)やタグが目に留まる。実際、手に取って軽さを比べる客も多い。確かに傘が軽いと持ち運びに便利。いつ降るかわからない予測不能な雨に、軽量傘は役立つ。

 一方、傘メーカーは軽量化に慎重な様子。理由は簡単で、安心安全を消費者に提供する責任があるからだ。傘を軽くするには構造を簡素化する必要がある。細デニール糸の生地を採用したり、骨の素材をより軽くしたりする。

 「強度と軽さは反比例する。いかに品質を保ち、軽量ニーズに応えていくか」。業界でこの共通認識が広がっている。「比較的業界が小さく、企業同士が切磋琢磨(せっさたくま)している。軽さだけを競うことなく、品質を損なわずに軽量化に挑戦できる」との指摘も。軽量で良質な傘を安心して使えるのは、業界の努力があってこそと改めて思う。

(麻)



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