《視点》中国生産

2017/11/16 04:00 更新


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 日本向けが中心の中国のニット工場が「利益が出ない。工場をやめたい」と言ってきた。昨年まで200人規模の工場だったが、現在、合理化を進め人を減らしている。設立して20年、これまでなら20周年記念パーティーなどを考えたはずだ。今、残る職人たちが出資し経営を続けるかどうかを話し合っている。 

 中国人の工員は4年間勤めると長い方だという。いい職場があればすぐに転職してしまう。工員は育たず職人にまで至っていない。高度な機械が揃っていても使いこなす力がなければ宝の持ち腐れだ。 

 日本の小規模専門商社やニットメーカーが中国生産を見直し、不良品発生率が低く、CSR(企業の社会的責任)の仕組みが整う工場に切り替えようとしている。

 日本市場は多品種小ロット短サイクル、ある程度高品質で安価であることが要求される。かつて香港や韓国が生産基地だったが、中国本土に替わられ今はその姿は無い。中国は日本に近く、中国の中小工場も国際認証取得などブランド化ができれば香港、韓国の轍(てつ)を踏まずに済むと思える。日本は経験と教訓を生かし改めて中国生産に再投資する機会かもしれない。(稔)



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