《視点》温度差

2017/08/18 04:00 更新


 ベトナムがアパレル生産のチャイナプラスワンの最有力と言われて久しい。とはいえ、日系企業のベトナム活用は、一部の有力SPA(製造小売業)を除いて盛んではないのが実態だ。一時は取り組む企業が増えたものの、最近では〝慣れた〟中国に戻っている企業の数が増えている。

 なぜ進まないのか、ベトナムに工場を持つ副資材メーカーの役員に聞いたところ、「『数量が合わず、なかなか生産ラインを確保できない』といった問題が半分。もう半分は日系のアパレルメーカー、小売業の意識の問題」と指摘した。

 中国の生産背景を開拓していたころは、直接オフィスを立ち上げて、生産管理の担当者を張り付かせるなど人材を派遣し、商社や協力工場と一緒に生産ラインを築き上げてきた。ところが、「東南アジアに来た途端、商社に丸投げ。中国のころと温度感が全然違う」という。

 記者も現地で日系の素材メーカーの駐在員を取材していると、「中国ではないのに、中国と同じやり方でうまくいくと思い込んでいる」との声が聞こえてくる。「半年に一度くらい出向いて、『送料で利益が吹っ飛んだ』とかで『やっぱり難しいな』とぼやいているけど、そりゃそうだろうと思う」と苦笑い。自ら汗をかかずして、企業の成長はない。(嗣)



この記事に関連する記事