アパレル・雑貨の「渦」 三河木綿に草木染で味わい

2021/02/01 06:27 更新


「渦」のジャケット

 三河木綿や知多木綿を草木染したアパレル・雑貨ブランド「渦」は16年5月、代表の青木淳さんと妻の愛さんが立ち上げた。同年10月には愛知県西尾市に直営店をオープン。夫妻を含むスタッフ6人で手染めする。その味わい深さに引かれ、地元だけでなく遠方からも顧客が訪れる。

(上田悠矢)

 最初は愛さんが着古した服を使ってパッチワークで小物を作り、趣味として楽しんでいた。夢中になり様々な生地を探すなかで、天然染料で手染めした服を作る職人と出会う。草木染の深い味わいにほれ込み、染め方を学んだ。その後、自ら藍や柿渋などで染め、縫製したアパレルを近隣のイベントで販売するようになった。

 直営店は、淳さんの祖母が住んでいた空き家。もったいないと考え、自分たちで改装した。

 店舗を出し、徐々に販売数量が増えたことで生機(きばた)の仕入れ先を探さなければならなくなる。夫妻は業界未経験。仕入れについて知識は無かったが、近隣の機業場に出向いて交渉した。「最小ロットに満たないオーダーでも引き受けてもらい、感謝しかない」と青木代表は話す。

直営店は空き家をDIYで改装した

 同店では染め体験も実施している。現在は新型コロナウイルス感染拡大により休止しているが、以前は月に400人が利用するほどの人気だった。

 SNSやブログなどで情報発信し、ブランディングにも力を入れ、客数、売り上げも年々右肩上がりだという。

 20年は店舗での売り上げは減ったが17年に開設したオンラインショップが好調で、売り上げは前年の3倍になった。もともとオンラインが売り上げの7割を占めていたが、20年は9割以上になった。

 昨年は5月までアパレルの生産を減らし、マスクの生産を強化し、これが好調だった。草木染の深みのあるマスクが反響を呼び、一度購入するとリピーターになるケースも多かったという。

 近隣の機業場で出る端切れを草木染した物を1パック(400グラム入り)1300円で販売している。「ハンドメイドを楽しむ人が多く、年間に約1500パック売れる」という。

 地場産業を生かし、他にはない価値のある商品を企画する。「地場産業を生かしたビジネスがもっと普及していってほしい」と考えている。

青木淳さんと愛さん夫妻


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