【パリ=松井孝予通信員】在仏米国大使館が、DEI(多様性・公平性・包括性)に関連する方針の撤回を求める書簡を仏企業に送付していたことが明らかになった。仏の経済紙が報じたもので、対象は米政府と契約関係を持つ通信、エネルギー、製薬、ラグジュアリーなどの企業や法律事務所。
この書簡では、DEIを推進していないことを証明する書類の提出が求められており、背景には23年に米最高裁が「人種などを考慮した大学入試の優遇措置」(アファーマティブ・アクション)を違憲と判断したことと、トランプ大統領が掲げる反DEI方針があるとされる。
仏政府はこれを「容認できない内政干渉」と非難。一部企業は慎重な姿勢を見せる一方、ESG(環境・社会・企業統治)戦略が弱い企業では通達に応じる動きも出ているという。一部報道によれば、ケリングやAXAなどには現時点で書簡は届いていない。
また英国の報道では、同様の書簡が東欧諸国を含むEU(欧州連合)域内の複数の大企業にも送付されていると報じている。対象はいずれも米政府との契約関係を持つ企業という。
ラグジュアリーメゾンを含む多くの仏企業が、サステイナビリティー戦略やESGの一環としてDEIを推進してきた経緯がある。今回の書簡は企業理念や調達方針に影響を与える懸念がある。