ユナイテッドアローズは下期(22年10月~23年3月)、商品コスト上昇への対応と定価販売比率向上を並行して進める。秋冬商品は各ストア業態の2割相当の商品を平均15%値上げする。その分、品質やデザイン性を高める。総利益率を高めるため、今夏からセール時期を例年より遅らせるなどプロパー販売で売り切る施策を取っており、冬セールも従来の時期を見直す。
第1四半期(4~6月)は前年同期比増収で総利益増益、営業損益も黒字化した。売上高、利益ともにコロナ禍前の19年4~6月実績には届かなかったが、松崎善則社長は「店舗数が14%減った状態で、売上高は1割減まで戻ってきた」と店頭販売の回復に手応えを示す。
回復傾向の見え始めた実店舗での販売に比べ、ECは単体で4~6月が4.7%減となり「想定を下回った」。このため、今後は実店舗との連携をさらに強化する。在庫の一元管理に関して生じている課題も23年春物の立ち上がりまでに解消し、ECの伸びを促進する。
この間の原材料費や物流費、円安などの進行に伴う原価率上昇に対応し、22年秋冬は売上高のボリュームを占める「核商材」を値上げする。例えば、オリジナルのダウンジャケット3万3000円を3万6000円に、チェスターフィールドコート4万2000円を4万8000円に引き上げる。
22年春夏は19年比で在庫量を約15%減らし、定価販売比率の引き上げに取り組んだ。前年は6月から値引き販売を開始していたが、22年は7月中旬の本セール開始まで定価販売を継続した。4~6月の売上高に占める定価販売の構成比は3年前に比べ10.2ポイント上昇し、総利益率が改善した。
秋冬物の値上げが受け入れられるかが不透明なため、仮に値引きを強いられた場合は販売点数を増やし、利益総額は減らさずに済むよう、商品の在庫を多く仕込んでおく考えだ。冬セールも夏同様に開始時期を遅らせ、定価販売比率を上げる。具体的な開始時期は商業施設など出店立地の運営側と「話し合いをしている」という。