ヨーロッパブランドの販売3(坪内隆夫)

2017/01/10 00:00 更新


クリスマスが終わり正月も明けると、1月10日からフィレンツェでメンズの展示会PITTI UOMOが始まり、その後すぐにMILAN、PARIS MENS FASHION WEEKと続きます。ちょうどMILAN MENS FASHON WEEKが始まるころからレディースのプレコレクションの販売も始まります。

メンズとレディースが同時に販売になるので、いくつかのブランドを掛け持っているとアポが重なってしまい、一方のアポに行けない場合も結構出てきます。ただ、海外に慣れているバイヤーの方のほとんどは、英語、まれにイタリア語もでき、ブランドのスタッフとコミュニケーションが取れるので、そういった時には仕方なく、ブランドのスタッフに販売を任せます。

こんな感じで、セールスキャンペーン中の一番忙しい時には一人ではこなせきれないくらいのアポが入ってきますが、セールスキャンぺーンが終わると結構ゆっくり時間が取れます。

どちらにしてもヨーロッパとアジアでは時間差がありますし…。インターネットさえ使える場所にいれば、どこにいても仕事ができるので、南国の島に行ってのんびりしながらの仕事も可能です。まだ、そんな身分ではありませんが。

ということで、今はちょうどAW2017の販売のプログラミングをし、メンズとレディースのバイヤーに次のコレクションを見に来てもらえるようにコンタクトを取っている最中です。ファッションウィークに入ってしまうともうアポも取ることはできないので、販売が主になります。

そのために、事前にたくさんアポを取っておかなければなりません。最近はパリのテロの影響もあり、バイヤーの出張期間も短くなっているようなので、かなり早い時期にアポを取っておく必要があります。

そんな感じなので、今の時期のように新規のお店を探し、そこにコンタクトを取ってコレクションを見てもらえるようにアポを入れるという仕事の方が、セールスキャンペーン中より逆に忙しかったりします。

■今特に力を入れているブランド「ALBINO TEODORO」

 


 

今特に力を入れているブランド「ALBINO TEODORO」は、次のAW2017で担当し始めてから4シーズン目になります。

私は日本人なので日本のマーケットではエクスクルーシブをもらって販売し、他にエージェントがいない国は、自分で開拓していけば販売した金額に対してのコミッションが支払われます。今後、日本のブランドの販売ももっとしていきたいので、特に海外のマーケットに対しての販売に力をいれています。

日本のセールスキャンペーンの時期から考えるとかなり早いと思われるかもしれませんが、ここ何年ももう、デリバリーが早くできるプレコレクションの販売の方が、レディースファッションウィーク中に販売されるメインコレクションよりも、断然販売金額が多くなっています。

プレコレクションとメインコレクションの販売の割合は約2対1です。プレとメイン両方買うお店もプレの買い付けがメインの倍の金額になっています。

ちなみにAWのセールス期間とデリバリー時期は、プレコレクションは1月の中頃から2月の半ばまで販売し、デリバリーは6~7月で、8月のバカンス前までにデリバリー完了。メインコレクションは2月末のファッションウィーク時から3月の半ばまでの販売で、デリバリーは9月いっぱい、と言った感じです。

プレコレクションの割合が増えている理由は、やはりデリバリーが早くプロパーで売れる時期が長いと言うことと、メーカーとしてもお店に対して早くバジェットを使わせたい、と言うことがあるからです。

この「ALBINO TEODORO」、3シーズン前に販売を始めた時には日本のお店には入っていませんでしたが、順調に新規のお客さんにも購入いただき、今では伊勢丹、高島屋、そごう西武、BEAMSINTERNATIONAL GALLERY、その他のお店で販売していただいています。

今の時期なかなか新規のブランドはお店に入れてもらえないので、とてもありがたく思っています。

デザイナーのALBINO TEODOROはイタリアの有名な大手ブランドのチーフデザイナーと、パリのブランド「VIONNET」のデザインも担当しています。日本の市場に合った、とても洗練された美しいラインと、綺麗な色遣いが特徴です。

生地もイタリア北部のコモ、ビエッラなどで生産される最高級生地を使用し、縫製は「GIVENCHY」、「JIL SANDER」、「N°21」などの生産に携わる工場とパートナーシップを結び、MADE IN ITALYにこだわったブランドです。

 

 

もうそろそろSS2017の商品が日本に届く頃なので、是非どんなコレクションか見に行ってください。公式サイトはこちら→ALBINO TEODORO

 


 

【連載記事】

ヨーロッパブランドの販売1

ヨーロッパブランドの販売2



坪内隆夫 つぼうちたかお 東京モード学園デザイン学部卒業後渡英、1年後に渡伊。デザイナーとして活動をはじめ、ミラノにてオーダーショプ「TAKAO MILANO」をオープン。2004年2月から2007年9月まで年に2度、ミラノ市の協賛を得て、ミラノファッションウィーク開催中に新人デザイナーを中心とした展示会UPSIDE MILANOを主催。その後、ミラノのショールーム、ファッションガイドブックへのコンサルタントを行い、2012年1月のPITTI UOMOから日本のメンズブランドのヨーロッパでのセールスプロモートをするプロジェクトJAY PROJECTを開始する。



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