商社のDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略は次の成長に向けた体制を整えている。全社的な業務変革や組織変革に向けた基幹システムの整備、業務効率化を目的としたデジタル化に力を注ぐ。得意先やサプライヤーなどとのサプライチェーンにおける連携をデジタル化によって進める動きも広がっている。
- ヤギ 取締役常務執行役員 山岡一朗氏
- 蝶理 上席執行役員経営政策本部副本部長人事総務部情報システム部 中山佐登子氏
- MNインターファッション ICT推進部DX支援課課長 中島一成氏
- 帝人フロンティア 経営企画本部DX推進室長 渡辺哲雄氏
- 豊島 デザイン企画室課長 加藤諭氏
サステナビリティ/デジタル事業推進室を立ち上げ
ヤギ 取締役常務執行役員 山岡一朗氏
26年3月期を最終年度とする中期経営計画の事業戦略として、マテリアル、ライフスタイル、アパレル、ブランド・リテールの4セグメントの真ん中に、サステイナブル(持続可能な)とデジタルとグローバルを共通テーマとして位置付ける。これにより各セグメントが連携し、総合力を発揮する体制を整えた。4月にサステナビリティ/デジタル事業推進室を立ち上げ、グローバルについては各セグメントのなかで仕掛ける方針だ。マテリアルとアパレル、ブランド・リテールとアパレルなど、それぞれのセグメントが連携する〝結合器〟の機能を発揮することができる。
現在、注力しているのは自社内における業務効率DXだ。当社は、21年に基幹システムをSCSKに変えており、そこから一層の有効活用を図るために経営戦略部を設けて、マイナーチェンジや〝肉付け〟をしており、社内システムの精度を向上している。3Dデザインとデジタル生地のライブラリーの米「スウォッチブック」との連携では、当社のテキスタイルECプラットフォーム「ファブリー」の掲載商品の3D・CG化を進めており、現在は約300品番で対応している。
SCM(サプライチェーンマネジメント)は、衣服製品生産などのプラットフォームサービスを提供するシタテルとの取り組みが進んでいる。「シタテルクラウド」を活用して、メーカーと検品所、通関をつなぐ物流システムを構築して、順調に稼働している。
全社業務変革プロジェクトを推進
蝶理 上席執行役員経営政策本部副本部長人事総務部情報システム部 中山佐登子氏
22年4月から全社業務変革プロジェクト「CARAT」(カラット)に取り組んでいる。繊維事業の業態に適応する形で25年間使用してきた蝶理独自にカスタマイズした旧来の基幹システムを、次期基幹システムソフトであるSAPへ変更する。それと同時に、全社的な業務変革や組織変革、意識改革を行うプロジェクトになる。
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