豊島 CVCファンドを立ち上げ IT企業へ出資

2017/08/23 04:30 更新


 専門商社の豊島は、コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)ファンドを立ち上げ、国内外のIT(情報技術)ベンチャー企業に出資することで、取引先にIT関連の商材を提案していく。ファッションや生活関連産業の取引先の課題を的確につかみ、解決できるベンチャー企業に対し、よりスピーディーに出資する。取引先へのサポートをこれまで以上に強めると同時に、豊島の営業力を上げるのも狙いだ。22日の記者会見で豊島半七社長は「豊島がCVCファンドを行うのは初めて。ファッションとITに特化したファンドは珍しいのでは」と話した。

(近藤康弘)

 CVCファンドは今年1月に組成した。7月からファンドのセールス活動を始めており、今月末までに複数の出資を予定している。豊島本体からの直接投資とは異なるマイノリティー出資だ。「(マイノリティーは)最低で億円単位」(豊島社長)となる。国内案件が先行しており、年内に5社程度を見込む。今後海外にも広げる。8年間で20社ほどへの出資を見込んでいる。

 豊島は取引先が約1100あり、そのうち200ほどが小売り関連という。特に小売りからIT活用への相談や悩みが寄せられており、2年前から検討を始めていた。業種や企業規模、取扱品目によって解決すべき課題が異なるため、ITベンチャー企業を発掘し、解決にあたる。単に出資するだけでなく、豊島が協業していくのが特徴だ。

 社内では既にIT研究会を立ち上げ、営業担当者のレベル向上を図っているが、今後さらに勉強会に力を入れ、営業力の強化につなげる。IT企業に関する情報や、消費者理解のためのデータなどの蓄積も営業力の強化に資すると見る。今後、高度なサプライチェーンの構築やAI(人工知能)活用につなげ、ファッション産業の技術革新に積極的に取り組む。

■CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)

 事業会社が自己資金によって社外のベンチャー企業などに投資する活動を行う組織のこと。資金を集めて得たリターンを配分するファンドを組成したり、子会社を設立したりして運営する。投資家から資金を集め、大きなキャピタルゲインを得ようとするベンチャーキャピタルとは異なり、CVCは協業や本業とのシナジーを狙って設立されるケースが多い。




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