カシミヤやウールなどの紡毛紡績を主力とする東洋紡糸工業(大阪府忠岡町)は、カシミヤと他繊維との混紡糸を拡充している。なかでも力を入れているのはポリ乳酸(PLA)繊維やシルクとの混紡だ。
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同社はバイオワークス(京都府精華町)が作る改質PLA「プラックス」を活用した糸の開発を強化している。先行して開発したウールとプラックス短繊維との混紡糸は昨年、アウトドアブランドの長袖Tシャツに採用された。スーピマ綿との混紡糸もあり、いずれも備蓄販売している。
新たに開発したのが、カシミヤとの混紡糸。このほど開いた展示会ではカシミヤ70%、プラックス30%の30番双糸を使った編み地を初めて出した。カシミヤの風合いとPLAが持つ消臭性などの機能を組み合わせ、上質な機能素材となった。
シルクはカシミヤとの混紡糸「スプーマ」が好評だ。スプーマはカシミヤ50%、シルク50%の「スプーマ55」と、カシミヤ70%、シルク30%の「スプーマ73」がある。このうちスプーマ55は「秋冬シーズンだけでなく、春先や秋口にも活躍する」。編み立てると、カシミヤの風合いを持ちながら、シルク特有の光沢と奥行きのある色味に仕上がる。シルクには疎水性の特殊プロテインでコーティングする独自技術「マユカ」を使い、手洗いが可能という。マユカ100%の糸も引き合いが増えている。
絹紡糸に生糸をカバリングした「ナツコ」もウォッシャブルシルクとして打ち出す。上質な光沢とともに軽さ、柔らかさが特徴だ。