東レ、植物由来原料30%使用の人工皮革を開発

2018/11/20 14:36 更新


 東レは人工皮革の「ウルトラスエード」で、植物由来原料を重量比30%使用した「ウルトラスエードBX」を開発した。ポリエステル基布だけでなく、含浸ポリウレタンも部分的に植物由来原料を使うことで比率を高めた。19年から販売開始し、初年度5億円、23年度30億円の売り上げを目指す。

【関連記事】東レ、ストレッチ「プライムフレックス」で新タイプ開発

 同社が16年から販売している「ウルトラスエードPX」は、基布のポリエステルマイクロファイバーが部分植物由来で、完成生地段階での植物由来比率は15~17%だった。これに対し、新開発のBXはポリウレタンや補強布(スクリーム)にも植物由来原料を使うことで倍以上まで引き上げた。

 ポリウレタンの原料は主に、ポリオール、イソシアネート、伸張剤を組み合わせるが、このうちポリオールを三菱ケミカルが開発したトウゴマ由来のものに置き換えた。従来の植物由来ポリオールでは風合いが固く、もろくなるといった課題があったが、新タイプでこれがクリアできた。

 また、ポリウレタンを基布に含浸させた際の凝固法も改良し、溶剤の濃度や温度、添加剤などの工夫で均一に浸透させられた。これにより、石油由来と同等の引っ張り強度や耐摩耗性を実現し、ウルトラスエードの主力用途の一つであるカーシート、車両内装材に求められるスペックをクリアした。

 16年から販売するPXはカーシートをメインに、欧州メーカーや電気自動車メーカーから引き合いがあり、カーシート用の2割ほどを占める。BXの価格は従来品より10~15%高くなるが、ブランド価値を高めながら、19年以降はBXへの置き換えを進める。

従来と同等の品質を実現した


この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事