ボン・マルシェで「パリの虜(とりこ)になるわよ」。パリ左岸の百貨店ル・ボン・マルシェで開催中の PARIS! 展。2年前に大ヒットを飛ばした「日本展」を彷彿させる賑わいとなっている。ツーリストもパリジャンも、パリの虜。
毎年9月、ある都市や国を招待した大イベントでシーズンを開幕するボン・マルシェ。昨年のテロによる連帯感から「パリ」をゲストに?と同社プレスに質問してみたところ、” NON ! “とキッパリ、でも笑顔で返事をされてしまった。
ブラジル、ロンドン、日本、そして昨年のブルックリン。「そろそろなーんかパリよね、そうパリよ!、パリにしましょう!!パリ!!!」と、決まったようだ。
ボン・マルシェ本館 空中ダンスホールみたい
PARIS!
このイベントのタイトルはずばり「パリ!」。「全館がパリ」とボン・マルシェはその規模を強調する。実際、「パリ」という映画の中でショッピングしているような空間。百貨店の巨匠(という表現はおかしいが)、ボン・マルシェ監督が全館挙げて制作した大傑作『PARIS!』という(長めの)キャッチをこのイベントに捧げてあげよう(なーんて偉そうに)。
まるでパリの中につくられたパリのシネマのセットのような演出。右岸の壁にイラストを貼付けて頭角を現した、フレッド・ル・シュヴァリエの横顔キャラクターがマリオネットのようにボン・マルシェ本館の吹き抜けにぶらさがり、ワルツのように踊っている。
本館1階 キオスクでショッピング?
床はパリ名物の石畳(石がプリントされたシートだけど)。1階のイベントスペースにはキヨスクのような商品棚に、ポストカードからバック、テーブルウェア、「ラ・メール」(あのラグジュアリースキンケアの)など数えきれないほどの協業グッズが並ぶ。
「ヴァネッサ・ブリュノ」のトートバックのカスタマイズアトリエは、このバックの愛用者が多い7区の住人を大切にする気持ちからなのだろう。このイベントのビックゲスト、「クリスチャン・ルブタン」のコーナーは、(大道具の)紅葉した樹木に椅子とテーブルが置かれ、公園にいるような気分で美しい靴のお買い物が楽しめる。
ルブタンのコーナー
3区に並ぶアートギャラリーのような「モワナ」のポップアップでは、アーティスト、マンボとのコラボ商品。2階は靴、帽子、バック、レザーグッズ、ジュエリーの若手クリエーターたちを集め、右岸のアトリエストリートのように演出。
3階はカフェを囲み、アフリカンプリントの「シャトー・ルージュ」のコレクション、メゾン用品、ステーショナリー、etc. コスモポリタンなパリのフリーマーケットのようで、いい意味でボン・マルシェにいることを忘れてしまう。そうそう、カフェにおかれた籐と竹の椅子もちゃんとした商品(420ユーロ)。売り物だ。
カフェの椅子も商品です
ラ・グランド・エピスリー・ド・パリ(食品間)も、もちろんPARIS! パリで採れたハチミツを使用したパリ市の形をしたガトー、パリで醸造されたビール、パリのコールドプレスジュース、「ポワラーヌ」製ボン・マルシェと凱旋門の形をしたサブレ…。もうここでパリパリパリと連呼するより、ボン・マルシェのこちらのサイトに飛んでください!
同展レセプションのビックサプライズ!シャンソンの女王レジーヌがステージに!!
食べるボン・マルシェ ポワラーヌのサブレ
Fred Le Chevalier
” On dansera jusqu’à ce que le monde tourne rond “
フレッド・ル・シュヴァリエ
「美しい世界が巡ってくるまで踊りましょう」
GALERIE EKO SATO
57, rue des Cascades
75020 Paris
www.ekosato.com
ジャーナリスト、そしてエッセイストとして素敵な著書をお持ちのパリ在住佐藤絵子さんが、この春、20区に開設し現代アートギャラリーで、フレッド・ル・シュヴァリエの個展が開催されている。男女がまあるくなってダンスしたりスィングしたり。美しい世界が巡ってくるまで、フレッドワールドで踊っていよう。
On danse jusqu’à ce que le monde tourne rond -Fred Le Chevalier- Galerie Eko Sato
松井孝予
(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。