ノルマンディーファッション紀行(松井孝予)

2019/05/23 06:00 更新


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パリ、サンラザール駅。朝。

北へ向かう8時19分発普通列車(新幹線も特急もない)に乗り、菜の花畑、満開のりんごの花(のちにシードルやカルヴァドスになる)の春薫る風景に長閑な乳牛(カマンベール!)の群れを眺めながら1時間半。

ノルマンディーの首府ルーアンに到着。

日本なら「通勤圏内」のこの都市。実際ここからパリまで通勤している人たちもいます。

『男と女』(シャバダバダ♪)の舞台で知られるドーヴィルの海岸もここから遠くない。

『ボヴァリー夫人』の著者、ギュスターヴ・フロベールはルーアン生まれ。

と、余談はともかく、ここに来た目的は「FASHION!」を見るため。

新作のプレゼンテーションでもショーでもありません。

モードをテーマにした6つの企画展です。

FASHION!

国立ルーアン美術館/ROUEN MUSEE DES BEAUX-ARTSがイニシアチブをとり、ノルマンディー地域圏6つの美術館が毎年ひとつのテーマで企画展を開催します。

今回はファッションをテーマに、タイトルもそのものズバリ「FASHION !」

各美術館がお宝所蔵品を公開しながら、ファッションの歴史をフォーカス。

多くの人たちに見てもらうため、すべての企画展が無料で公開されます。


ルーアン美術館では、1820ー1840年のダンディなコスチュームとエレガントなローブ展。

そのお隣にあるセラミック美術館では18、19世紀のビジュー。

古代博物館ではエジプトのテキスタイル展。


これでもまだFASHION!の50%しか見てない。好奇心の目は持ち続けているものの、交通が便利とは言えない地方で、持ち時間1日で完走するのは体力的にも大変〜。

しかし残り半分、次にご紹介する3つの展覧会は場所そのものがおもしろい。

ノルマンディー旅行のおススメカルチャースポットです。

メタルxメタル

パコ・ラバンヌ展
鉄工芸博物館 ミュゼ・ル・セック・デ・トゥルネル
MUSEE LE SECQ DES TOURNELLES

この博物館、初体験者の誰もが驚くこと間違いナシ!

15世紀の教会、その名も「サンローラン」教会が鉄工芸の博物館なんですよ。

サンローラン教会
その中身は鉄博物館

画家から写真家になったルイ=アンリ・ル・セック・デトゥルネル(1818ー1882)が収集した鉄のオブジェが展示されているのですが、その種類と数が半端じゃない。

とにかくこちらのサイトで、この鉄人マニア度をご覧くだされ。

http://museelesecqdestournelles.fr/fr/le-musee-le-secq-des-tournelles

この強烈な鉄の箱に、パコ・ラバンヌの「着れない」12のコレクションを展示してしまった。

メタルのローブが、まるで水を得た魚のように、際限なく美しく。

鑑賞の極みです。

1979ー78年秋冬オートクチュール
1990ー91年秋冬オートクチュール

ウール その実用性から高尚さまで

ラ・ファブリック・デ・サヴォワール
LA FABRIQUE DES SAVOIRS /KNOWLEDGE FABRIC
http://lafabriquedessavoirs.fr/

ルーアンから車で30分。ここエルブフという街は、中世から毛織物の産地として知られていました。

ル・アーヴルという欧州で有数の貿易港とファッションの都パリに近い地理的条件が揃い、輸入された原毛が織物となり輸出され、パリのクチュリエたちの御用達となっていたわけです。

残念ながら現在では毛織物の工場は姿を消し、でも博物館ラ・ファブリック・デ・サヴォワールとして公開されています。

原毛が服地になるまで、保存されている織機やアーカイヴを通し知ることができる、とっても興味深い博物館。

ここでの企画展は、まず原毛を触ったり小さな織機で動かしてみたりと、ウールの実用性を研修形式で学び、それからエルブフのお得意さんだった、「クリスチャン・ディオール」「エルメス」「ランバン」などのメゾンの60年代のコレクションをじっくりと見る。

「ディールオール」や「エルメス」などが

とにかく見たこともない機械に囲まれて、テキスタイルの歴史を肌で教えてもらえる博物館!

ラ・ファブリックに展示された機械
ラ・ファブリックに展示された機械

コットンと花

ノルマンディーのテキスタイルプリント展
コードゥリー・ヴァロワ博物館
CORDERIE VALLOIS
http://corderievallois.fr/en

日本で人気のあるトワル・ドゥ・ジュイと並び、ルーアン近郊も1759年から21世紀初頭まで綿織り物で栄えた地域。この博物館では当時のフラワープリントコレクションを展示しながら、インドから渡ってきたラグジュアリーなコットンテキスタイルの発展を学びます。

この場所も前記の博物館同様、もと工場でした。それも紐の。

小川が流れる美しい田舎の風景に、小屋のような建物。水車が置かれた廊下を渡ると、

昔の工場が現れる。

スイッチを入れると、糸巻き機が動き出す。

その重たい音から、当時の紐作りの光景が広がってくるような、まるで映画の中にでも放り投げらたような、特別な体験をプレゼントしてくれる博物館です。

館内のショップではお土産として数々の紐が揃っています。

コードゥリー
コードゥリー
コードゥリー 当時のオフィスがそのまま
コードゥリー


前回までのレポートはこちらから


松井孝予

(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。

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