環境、社会、人権などの問題解決とビジネスの両立に取り組む企業やブランド、人々の話題が、繊維・ファッション業界でも増えています。
こうした態度・行動を指す言葉として、
- エシカル
- サステイナブル
-
レスポンシブル
などの用語が使われるようになりました。
それぞれ言葉の持つ意味やニュアンスはどう異なるのでしょうか。解説します!
ゴールはほとんど同じ
結論から先に述べると、サステイナブルファッション、エシカルファッション、レスポンシブルファッションのように、最終製品やブランドに使う場合、ほぼ同義ととらえています。使われる素材や生産工程が、環境や社会、人権などに配慮された製品・ブランドという意味です。
ただし、単独で使う場合は多少ニュアンスが異なりますので見て行きましょう。
1.サステイナブル
サステイナブルは「持続可能な」と訳されます。途上国の開発問題などでよく使われる用語のため、環境と経済発展を両立させるという環境配慮の意味合いが強い印象があります。ただし、環境だけでなく、将来にわたって産業や社会、地球環境を存続させるためのより良い選択をする全ての手段が対象になります。つまり、素材や商品などの単体を指すというよりは、素材作りや製品作りのプロセス(サプライチェーン)全体であったり、サプライチェーンがより良く循環するための手段を指す言葉ととらえています。
2.エシカル
消費者向けの言葉としてよく使われるのが、「倫理的」や「道徳的」と訳されるエシカルです。昨年5月、そごう横浜店で開かれたイベントは「エンジョイ・エシカル」という名称がつけられていましたが、消費者向けの催事や、「エシカル消費」など消費行動を指す言葉として使われています。
昨年5月、そごう横浜店のイベントスペースで開かれた「エンジョイ・エシカル」
倫理や道徳は、生まれ育った環境や宗教、教育などによって異なりますから、やや主観的ではあります。自分にとってのエシカルがその他の人にとってのエシカルであるとは言い切れません。ただし、エコやロハス、オーガニックのように、ファッション的なイメージを伴った新しい概念として定着するのではないでしょうか。日本人が言いやすい言葉であることも強みです。
3.レスポンシブル
「責任ある」という意味のレスポンシブルは、企業を主語にして使われるケースが多いです。CSR(企業の社会的責任)の重要性が増していることを背景に、ルールや法令に則り、環境や人権を守るために責任ある選択をし、行動を取ることです。
例えば海外の工場の労働環境管理など、サプライチェーンの一つひとつに責任を持つ企業の行動を指すイメージが強い言葉です。
このように言葉の持つニュアンスは多少異なりますが、目指すゴールは同じものだと考えています。企業も消費者も、選択できる中でのベターやベストを選ぶことであり、従来の方法よりも良くしたいとする姿勢の表れだからです。
本質は言葉選びではありません。企業やブランド、関わる人が、自らの発展や利潤だけでなく、産業、社会、地球全体を、次の世代により良い形で残すために、どのような選択をするかが問われています。