【記者の目】開発続くポストGMS業態 都市部に多頻度来店型NSC

2020/09/22 06:27 更新


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 GMS(総合小売業)大手によるポストGMSを探る動きが続いている。新設、改装で新たなフォーマットの実験を始めたもので、衣食住を揃えるといった従来のあり方から変えることも含めて、今後を見据える。数多くの老朽化した店舗のスクラップ・アンド・ビルドが求められており、収益につながる新たな形は欠かせない。

直営は食料品に絞る

 イオンリテールは8月7日、大阪市内の居住エリアに3月オープンしたNSC(近隣型ショッピングセンター)に「イオンそよら海老江」の名称を付けた。イオンそよらは公募した名称だが、GMSに代わる都市型SCの新フォーマットとして多店舗化に入る。ゆくゆくは「イオンモール」と並ぶようなイオングループを代表するものに育成するという。

 東京、名古屋、大阪の3大都市圏と政令指定都市で、海老江も含め21年度3施設、23年度10施設の開発計画を立てた。「首都圏でいえば山手線の外側、武蔵野線の内側」(岡崎龍馬取締役常務執行役員ディベロッパー担当)の都市部を対象とする。規模は、敷地で1万~1万7000平方メートル、総賃貸面積で1万平方メートル前後、テナント数10~40店を基本とする。

 人口密集地でかつてであればGMSを出店したエリア、敷地の規模だが、そのGMSでは「地域のニーズに十分に応えられない」ことがはっきりしていた。衣食住が揃う利便性を打ち出すGMSだが、その収益性の低下は非食料品分野の苦戦が続いていることが要因。もちろん非食料品分野を改革する努力は続けているが、反転には至っていない。新型コロナウイルス禍のもと、食料品と非食料品、とりわけ衣料品との動向の乖離(かいり)が大きくなってもいる。

 そうしたもと、イオンそよらは、食品スーパーの「イオンスタイル」を核とし、ドラッグストアやベーカリー、クリニックや美容室、各種教室といったサービス分野のテナントを組み合わせたSCとし、日常の利便性を打ち出すことで、高齢化などにより小商圏が前提となるもと、多頻度来店を促すことにした。回遊性が課題となっていた従来の多層型を回避するのもポイント。

 今後の物件では「総合で持っているものを生かす」(蓑原邦明SC本部長)として、直営で衣料品など非食料品を扱う可能性は示されているが、都市部では衣食住を揃えるのではなく、まずは食料品に絞ることを選択した。海老江の立ち上がりは、新型コロナ禍のもとで成果は見えにくいが、狙い通り近隣から集客しながら定着を見込んでいる。

 イオンリテールは、マイカル、ダイエーから店舗を引き継いだこともあり運営する400店のうち100店は店舗年齢が高齢化しており、その対応が求められている。この間、GMSから食品スーパーに業態転換、グループの新設NSCに移設したり、館としての活性化はオーナーに委ねるとしたケースもあったが、スクラップ・アンド・ビルドが本格化する中、自らがディベロッパーとして再建するためのフォーマットを固めた形だ。NSC開発・運営ではグループにイオンタウンがあるが、イオンリテールは都市部に集中することですみ分けるという。

 広域型SCや中型のCSC(コミュニティーショッピングセンター)の核店舗としてGMSの出店を継続するとするが、少なくとも都市部ではポストGMSであるイオンそよらへのシフトが進む。

イオンリテールは「イオンそよら」の開発に入った(イオンそよら海老江)

衣食住を専門店型で

 ユニーは〝ニューGMS〟として6月末、「ピアゴプラス妙興寺」を改装でオープンした。衣食住の3フロアを維持するが、売り場を専門店型として中身を変えた。

 低価格化とともに、「何でもあるけれどほしいものがないという状況を抜け出さないといけない」(吉田直樹パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス=PPIH=社長)として、成果を出しているドン・キホーテとのダブルネーム店への業態転換の経験者を配置して立ち上げた。40%売り上げを押し上げるダブルネーム店への切り替えと同等の効果が期待できる立ち上がりとしており、年内にスタートする大型GMS・アピタの改革につなげることにしている。

 ユニーでは当初100店をダブルネーム店に切り替えることを見込んでいたが、80店に見直している。100店程度はユニーに残る形で、こちらはニューGMSに改装しながら収益性向上を目指す。

田沼光龍=東京編集部大型店担当

(繊研新聞本紙20年8月31日付)

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