近づく東京クリエイティブサロン ファッション統括ディレクター松井智則さんに聞く㊤

2023/02/24 06:26 更新


松井智則さん

 国内最大級のファッションとデザインのイベント「東京クリエイティブサロン2023」(TCS)が3月17~31日、都内6エリアを中心に開かれる。今年はファッションを前面に打ち出し、統括ディレクターに松井智則さん(ワンオー社長)が就いた。「ファッションの祭りをしているという空気感を生み出したい」と話す。

 ――今年のTCSはファッションがメイン。

 ファッションウィーク(FW)の空気感を広く一般の人たちにも触れてもらいたい。

 20代のころからパリのFWを見てきました。パリは街全体にファッションイベントの盛り上がりを感じさせる空気感があります。東京では業界の人はFWを知っている。でもパリのような空気感はありません。多くの人に見てもらうことでそうした空気感を作り出していきたいですね。

FWが街に飛び出す

 ――そのための仕掛けは。

 「ファッションやクリエイティブは東京の重要な観光資源」がTCSの考え方です。この期間に東京を訪れると、街全体が祭りになっている。その接点がショップです。メイド・イン・東京を感じさせてくれるセレクトショップなどが参加して、店内で独自の企画を打ち出していくことが全体の空気感を生み出します。少しずつでも参加するショップを増やしていきたいですね。

 ――今回からファッション・ウィーク推進機構(JFW)と連携する。

 JFWがBtoB(企業間)とするならTCSはBtoC(企業対消費者)を担うイベントです。ファッションショーの情報がすぐにSNSにアップされる時代、もう一般の人がショーを見てもいい。TCSはFWが街に飛び出したというイメージです。

 ――シブヤハラジュクファッションフェスティバル(シブハラフェス)を続けてきました。

 前身のシブヤファッションフェスティバルは12年前に立ち上げました。全国には特産品の〝祭り〟があり、私の出身地の岐阜県関市で開かれる「関市刃物祭り」には多くの観光客が訪れます。普段は観光客はほとんど訪れませんが、人であふれます。そんな祭りを作りたい。ファッションを渋谷、原宿の特産品と位置付けました。

 コロナ前には渋谷・原宿の狭いエリアに約600も店がありました。シブフェスには300店超が参加し、DJをやったりケータリングで食事を出したり、店が独自に企画してイベントを盛り上げてくれました。

クリエイティブの祭り

 ――TCSもエリアごとに独自企画に取り組む。

 東京の6エリアで独自イベントを計画しています。渋谷、原宿はシブハラフェスがベースとなり、ファッションショーやインスタレーションで盛り上げます。イノベーション的なブランドを紹介していく予定です。

 丸の内は小山薫堂さんがクリエイティブディレクターになり、食などとファッションをクリエイティブでつなげます。インキュベーションがテーマで、学生のファッションショーなど若い人たちのコンテンツが盛りだくさんです。

 日本橋は何百年も続いてきた街です。その街が次に提案することは、これからも続いていく。続かせていくために何を気付かせるか。その視点でイベントを企画しています。

 銀座はラグジュアリーがテーマ。新しく加わった羽田空港は国内外の方が交差する場所です。そこでファッションに触れてもらうタッチポイントを作ります。



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