テーラーバンクがオンラインでお直し ネット購入品をサイズ調整後に配送

2022/11/10 06:27 更新


永井CEO

 洋服のお直しサービスをデジタル化してアフターケアを一括管理するテーラーバンク(岐阜市、永井正継代表取締役CEO=最高経営責任者)は、洋服のサイズ調整をオンラインで行うシステム「fitu」(フィッツ)をスタートした。オンラインで購入してからの「裾上げや丈詰めが面倒」という消費者のために、サイズ調整が簡単にできる機能を提供する。EC事業者向けの管理サービスとしても活用できるシステムで、今後、消費者およびEC事業者を中心に事業の拡大を図る。

 ファッション製品のパーソナルオーダー市場の拡大に伴い、長く着続けるサステイナブル(持続可能)な意識が広がるなか、同社は洋服のお直しサービスを、長年テーラーや大手スーツ企業で働いてきた熟練の職人とITを活用して行っている。大手の紳士服やシャツの製造販売企業を中心取引先として、サステイナブルの取り組みや熟練のシニア世代の活用などにより、社会的な課題解決を目指す企業として評価され、順調に事業が拡大している。

 今回のフィッツの事業開始にあたり、永井CEOは「消費者からは自分好みのサイズの商品がECサイトにないことや、購入してから丈詰めなどのお直しで改めて店に持っていく必要があること、自分で直すことやオンラインでのお直しが使いづらい、などの悩みを数多く聞く」ことが背景にあった。「商品が届く前に丈の調整が可能ならこれまでの手間がなくなり、消費者の利便性と満足性を高め、結果的に収益向上につながる」と話す。

 お直しできる内容はメンズ、レディス製品ともアイテム種別を問わずに丈詰め、幅詰めが中心。料金は丈詰めなどは1000円を基本に、納期によって例えば5日以内に顧客の元に発送する場合は通常価格、2週間の場合は10%引き、3週間で15%引きなど料金体系をシンプルにしている。同社は東京・新木場にお直し工場を持ち、物流会社の中に工場を設けていることから、集荷・配送の時間やコストを削減できるメリットを生かしていく。

 消費者がECサイトで購入した商品の丈詰めの場合は、まずフィッツの会員登録を行い、お直しする商品を購入し衣服の配送先をテーラーバンクにする。次に配送番号を控え、フィッツECサイトでお直し内容を指定(サービス購入)し、配送番号を登録して決済が完了する。お直しが済んで後日、自宅に配送される。自宅にある服の丈詰めも同様の仕組みだ。

 フィッツの利用で得られる消費者のメリットは、「リーズナブルなお直し料金で、特に商品購入の延長線上で自分の好きなサイズに簡単にオンラインでお直し注文できること。納期調整によって割引される魅力的なシステム」と永井CEOは期待を寄せる。

 EC事業者やブランド運営事業者にとっては「売り上げの向上はもとより、顧客ごとのお直しデータが蓄積でき、効率的な商品開発に結び付けることができる。また、ブランドにとってはSDGs(持続可能な開発目標)を向上させてブランディング効果を高めることが可能」(永井CEO)としている。

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