OEMのサニーデイズ 〝広州市場〟で製品仕入れサポート

2024/11/20 11:30 更新


2泊3日で息つく暇もなく数十軒歩きまわる

 OEM(相手先ブランドによる生産)のサニーデイズ(東京、森山鉄也社長)の製品仕入れ事業が成長している。ゼロから生産を請け負う一般のOEMとは異なり、中国・広州にある〝市場〟からの製品調達をサポートする。仕入れ先によってはB品率が高いため、現地での検品がキモ。日本人の役員がいる現地繊維商社と組み、品質を担保している。初年度の1万6000枚から昨年は27万枚。顧客企業も離反せず、新規も増えている。

(永松浩介)

中国の〝東大門市場〟

 レディスのニット、カットソーアイテム、布帛のOEMが主軸だが、伸びているのは製品仕入れ。知人が広州で手掛けているのを聞き興味を持ち、17年から始めた。コロナ下も伸び続け、OEMの売り上げ減を製品事業が補う。

 生地では有名な広州市場だが、製品仕入れは知っていても取り組む日本企業はまだまだ少ないという。「シーイン」の商品調達拠点と知られる広州のいわば〝東大門市場〟。市場と言ってもビルで、洋服やバッグ、靴など市場がそれぞれ市内に散在している。

 同社の顧客はオリジナル100%のアパレル卸が多く、当初は製品買いには抵抗があったという。それでも口説いて一度行くとリピートするように。実績を元に他の客にも話を向け、現在は14社に上る。客にはファッションビルなどに多店舗展開するところもいる。「売れなければそれで終わり。でも、実際によく売れるから継続する」と森山社長。展示会の自社企画品に忍ばせ受注し、その分だけ広州に発注する会社もある。

在庫がない場合は追加生産も可。その場合は1色60枚など注文ロットが通常より大きくなる

検品が生命線

 人気の背景は価格の安さと小ロット、納期の早さだ。価格は一概には言えないが、「OEMが1万枚受注したら出せる金額」で、これが各3枚からなどで買える。納期も最短で2週間ほど。デザインは日本のトレンドをうまく落とし込んだものが多い。ただ、製品の汚れや折り傷、着丈のばらつきなど物性に問題があるサプライヤーが多いため、検品が生命線だ。

 「誰でも買えるが、検品をおろそかにして失敗した会社は多い」。同社は、自社検品場を持つ現地商社と組むことで品質を担保している。「とにかく検品第一」。B品率は2%ちょっと、OEMと遜色ない。

 広州行脚は2泊3日が基本。森山社長らが同行し、午前の便で昼に着き、すぐに買い付けに。翌日は終日、数十軒まわる。「万歩計は2万歩近くにまでなる」。3日目も午後便まで時間の許す限り見てまわる。その場で発注もあれば、サンプル買いのケースもある。

 最近は、着丈や身幅、色の別注に対応する所も増え、使い勝手がさらに良くなってきたという。「減るイメージはない。まだまだ伸びる」と森山社長はみている。

 森山社長の話 20年以上OEMをやっているが、大げさに言えば商品調達のフェーズが変わったように感じる。企画会議を何度もして、色出しし生地を当てこみファースト、セカンドとサンプルを作り、展示会に出す。3カ月ほどかかる工程が全て端折れ、実際に売れる。

 広州で製品買いを始めてから、何でもかんでも一から作るのは間尺に合わない気がしている。全てが置き換わることはないが、オリジナルより原価率は低いし、売れれば追加すれば良いし納期も早い。良いことづくめだから、我々の口座も扱う枚数も右肩上がりだ。

「円安で通常のOEMで利益を出すのは至難の業。製品買いは競争力がある。EC専業にも重宝されている」と森山社長

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