「スーデザインズ」 アウトドア素材で日常になじむバッグ

2024/11/25 12:30 更新


高い防水性の「エックスパック」を使ったリュックはカスタムオーダーで販売

 「スーデザインズ」は岐阜市在住の代表兼デザイナーの鈴木亮祐さんによるバッグブランドだ。アウトドア向けの本格素材を使いながら、日常に溶け込む汎用性の高いデザインが人気を呼んでいる。11月にはバッグ工房にコーヒーと駄菓子を扱うショップを併設するなど動きが活発だ。

(森田雄也)

帆船のセイル生地

 アイテムはリュックとサコッシュといったバッグから始まり、コンパクト財布、ポーチなど幅広く揃える。人気の18リットルサイズのリュックは全体的に丸いフォルムで角がなく優しいイメージにし、13インチのノートパソコンがすっぽり入る。フロントと両サイドに大きめのポケットを配して、サイドポケットは1リットルサイズのボトルが収納できるのも売り。注文はネットでのカスタムオーダーでボディーやポケット、ジップなどの色が変更できる。税込み2万9700円で納期は3カ月。

 素材も特徴で、高い防水性で帆船のセイルに採用されている「エックスパック」を使っている。「生地自体はかなり高価な物」で軽く強度も高く、売りの一つになっている。エックスパックは生地で在庫を抱えている。

 ペットボトルが縦に入る機能的なサコッシュはエックスパックのほか、超高分子量ポリエチレン繊維「ダイニーマ」を使ったものもある。エックスパック製1万2100円、ダイニーマ製1万4300円など。

 ほかにも小銭入れ、カードポケット、鍵ポケットなど五つの独立したポケットを配しているマルチポーチも人気アイテムだ。

 登山やキャンプ、野外イベントなどちょっとしたアウトドアシーンでの活躍が見込める。もちろん日常使いにもなじむデザインだ。

 鈴木さんは愛知県西尾市出身。元々名古屋ファッション専門学校で学びながら販売職を目指していたが、3年生の時にデザイナーやパタンナーなど物作りに進路を変更するため学科を変えた。途中での学科変更は追加で学ぶことも多く、「かなりきつかった」と振り返る。

 卒業後は新卒で岐阜のアパレルで営業やパタンナーとして勤めた後、名古屋のアパレルに転職。デザイナーとしてキャリアを積んだ。同時にミシンを持っていたので働きながら、自分が使いたいと思う小物雑貨を自分用に作っていた。それが口コミやSNSで引き合いが出てきたこともあり、16年頃からブランド化し販売をスタートした。副業でやることは体力的にも難しさを感じ、22年6月に退職して独立した。

バッグを中心に展開し「ゆくゆくはアパレルも扱えたら」と話す鈴木代表兼デザイナー

卸など売り先拡大

 現在インスタグラムのフォロワーは1万7000人を超える。ファンは30、40代が多く、男性中心に女性もいるという。

 EC販売のほか、合同展やイベントに出るなどして消費者に販売し、ファンを増やしている。卸販売もしていて、インスタグラム経由で声がかかり、アウトドア関連の専門店に販売するなど売り先は広がっている。

 今年8月には、岐阜市のバッグ工房に併設する形でコーヒーと駄菓子を提供するショップを設けたいと考え、クラウドファンディングの「キャンプファイヤー」を活用して資金調達した。

 最終的に支援総額が135万円を超え、11月に晴れてショップもオープンした。地域の人が気軽に触れ合い、リラックスできる場所を作って「地域の人に喜んでもらいたかった」と鈴木さん。朝からオリジナルコーヒーを飲みに来る客でにぎわっている。

クラウドファンディングで調達した資金で開設した工房内のカフェ
店内には駄菓子も売っている


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