早稲田大学を中心としたファッションサークル「早稲田大学繊維研究会」は、繊維産業の研究を目的に49年に設立した歴史ある団体だ。現在は「ファッション業界を取り巻く現状に対して、ファッションを媒体として批評を行う」ことをテーマに活動している。伝統を大事にしながらより実りある活動にするため、企業との連携や活動スケジュールの見直しを進めている。
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ショーの成功に向け
他大学の学生も含めて毎年約80人が所属し、12月に開催するショーに向けて活動する。代替わりして間もない1~3月にかけては、企業へのスポンサー依頼などに代表を中心とした全員で取り組む。ショーのコンセプトは5月の大型連休ごろにコンペ形式で案を出した後、幹部を中心に話し合って案を絞り、再度メンバーで話し合って決定する。コンセプト決定後、服作りやルックブックの撮影、ショー当日の演出を準備する。
広報活動を全員で行いつつ、服造部門と演出部門に分かれて活動する。服造部門はショーピースを作る。服作りは未経験の人が多いため、服飾大学に通うメンバーに習うなど協力し合う。代表の井上航平さんは、「専門の教育を受けていないからこそ建築学科の生徒など自身のバックグラウンドを生かした服へのアプローチが生まれるのも魅力」と話す。
演出部門は、ショー当日の音響、照明、ランウェーの図面作成などを担当する。音楽は自分たちでコンセプトを決めたうえで、プロの音楽家に依頼し、相談しながら作り上げていく。
企業との取り組みも
12月のショーに重点を置いた活動に課題もあるとする。1年間かけて取り組む中で、「どうしても中だるみして、部員が1年の間に減ってしまう」と話す。今年は展示会なども開いてモチベーションの維持につなげたい考え。
活動をより持続的で良いものにするために企業との取り組みを強化していく。昨年まではエドウインやタキヒヨーからの生地提供を受けていた。今後は、渕上ファインズ(福岡、渕上芳亘代表取締役)が運営するウェディングドレスショップの「ドレスザライフ」から生地提供を受けるほか、ショー当日のメイクをカプラス(東京、駒﨑由美子代表取締役)に依頼した。
代表の井上さんは「49年から受け継がれてきた繊維研究会の伝統を大切にしながら、24年度の自分たちらしさを表現したい」とした。
(坂入純平)