毎年12月に開催するファッションショーに向け、服作りや企業へのスポンサー依頼の交渉などに取り組む「ケイオウファッションクリエイター」。服飾専門学校と連携した専門知識を学べる環境作りや、企業と共同で行った新歓活動など、自己満足で終わらせないという思いを持って活動している。
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挑戦しやすい環境
02年に慶応大学の「ファッションビジネス研究会」から独立して発足した。12年のインターカレッジ化以降、横浜国立大学や武蔵野美術大学などの様々な学生が集まり、毎年120人ほどが所属している。
12月に開催するファッションショーが同サークルで最も大きなイベント。23年は2部制で実施し、340人を集客した。ショーに向けて「デザイナー」「ディレクター」「プレス」「モデルマネジャー」の四つの部署に分かれて活動している。
デザイナーは1年かけて1~2体のショールックを制作する。09年からはエスモードジャポン(現エスモード・東京校)と提携し、週に一度パターンの引き方などを基礎から学べる特別授業を受けている。服作り未経験のメンバーが多いが、挑戦しやすい環境が整っている。
プレスは、企業に企画を持ちかけたりスポンサーの依頼をしたりするほか、自分たちの取り組みの発信なども行う。これまでストーリーアンドカンパニー(東京、細川拓代表取締役)の運営する「ニューメイクラボ」と新入生歓迎会を兼ねたアップサイクルのワークショップなどを行った。
ディレクターはショーの空間デザインやルックブックの製作をする。モデルマネジャーはショーのモデルを決める。
固定観念を変えたい
ショーのコンセプトは、2~3カ月かけてメンバー全員で決める。グループディスカッションやコンペ形式など選定方法は毎年異なり、自分たちが納得できるやり方で決める。
昨年はテーマを「明晰夢(めいせきむ)」とした。夢の中で自身が夢を見ていると認識できる状態のことを指す。夢と現実の狭間に置かれた状況をイメージし、部員それぞれが自身と社会との関係を見直してショーピースや演出に考えを落とし込んだ。
代表を務める上野莉瑚さんは「自己満足で終わりたくない」とし、「ファッションを通して社会の様々な固定観念を変えていきたい」と話す。
今年度はメディアプラットフォームの「ノート」で、日々何を考えて活動しているかなどをより詳しく外部に発信する。企業との取り組みも強化していく予定だ。
(坂入純平)