紡績大手による商品開発の出発点が、〝エンドユーザーに役立つ〟という使用価値に転換してきた。製造拠点を持つメーカーである以上、安定操業は前提だが、メーカー都合を優先しすぎれば多様化するニーズに応えきれず、顧客離れとともに操業度のさらなる低下を招きかねない。各社が得意とする繊維加工技術を生かした差別化素材を提案するにしても、素材の特徴を前面に打ち出すのではなく、「この技術、素材を使って実現できる価値」の訴求を重視する。
(小堀真嗣)
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「売れる最終製品につながる開発ができる組織を作りたい」というのは、クラボウ繊維事業部長の北畠篤代表取締役専務執行役員。「新素材も大事だが、あくまで最終製品に役立つ素材を作るという発想で、そこに経営資源を集中していった方がいいと考えている」という。