《中小紡績が切り開く未来⑥》東洋紡糸工業 紡績に基づく知財、新事業へ

2023/08/23 11:30 更新有料会員限定


ベビーカシミヤ。デリケートな原料なだけに、工業製品として品質を確立させ、安定させるには高い技術力、品質管理のノウハウが必要だ

 カシミヤを中心とした紡毛紡績の東洋紡糸工業(大阪府忠岡町)。コロナ沈静化した今年、欧州の市場開拓に本腰を入れ始めた。イタリアやフランスなど欧州の見本市では主力のベビーカシミヤや、カシミヤ・シルクの混紡糸シリーズ、毛が抜けにくいという独自のファー加工などに対する関心が高く、現地メゾンのデザイナーなどから「どこにもない高い品質」と好評だった。「今年は海外市場へ打って出る。飛躍の年にしたい」(高橋恭二社長)と意気込む。

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高級ブランドにも

 同社は1947年に設立。前身まで含めると歴史は1879年に設立された桑原紡績所までさかのぼる。1930年には日本で初めてカシミヤ紡績を手がけたことで知られ、高品質のカシミヤ糸を作り続けている。

 同社の顔ともいえる商品はベビーカシミヤだ。世界で年間20トンしか生産されない希少な原毛の供給をほぼ独占的に受け、安定した原料調達の背景がある。原料を目利きする力と徹底した品質管理で、高品質の糸を安定的に供給できる。品質に対する顧客からの信頼は厚く、欧州の著名なラグジュアリーブランドとは取引が5年ほど続く関係で、販売量は拡大している。

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