半数以上が秋冬物を値上げ――繊研新聞社が実施した「全国専門店アンケート」で、22~23年秋冬物の商品の平均単価を上げる企業が全体の半数以上を占めた。22年春夏物では半数以上が前年並みの価格を維持していたが、原材料高騰や円安の影響などにより、値上げに踏み切る専門店が大幅に増えた。
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秋冬物の平均商品単価については有効回答数114社のうち、57社が「上げる」、30社が「前年並み」、2社が「下げる」、25社が「回答なし」だった。一方で、22年春夏物については、「前年並み」が59社、「上げた」24社、「下げた」7社、回答なしが24社で、半数以上が前年同等の価格を維持していた。
秋冬物の価格を上げる57社のうち、春夏物に続いて上げる企業は24社、春夏物は前年並みとしたが秋冬物で上げる企業が30社、春夏物で価格を下げたが秋冬物で上げる企業は3社。秋冬から値上げする企業が目立つ。「上がるものもあれば、前年並みのものもある」と記述回答した企業もあるように、値上げの方法は様々な形が予想される。
未回答とした企業の中にも、秋冬物で値上げの計画を表明した大手SPA(製造小売業)企業などが複数ある。このため、実態は今秋冬、かなり多くの専門店が値上げする見通しだ。
値上げの理由(複数回答含む)は、「原燃料の高騰」が34社、「円安」31社、「物流費上昇」22社、「その他」7社となった。その他については「MD構成の変更に伴うため」「ブランド価値向上」「付加価値をつけていくため」「前年攻めていないアウターで戦略的に攻める」などの記述があった。
秋冬物の価格を前年並みとする理由(同)の方は、「商品調達の合理化でコスト抑制」が15社、「客離れを防ぐため価格転嫁せず」13社、「コスト上昇を販管費削減で相殺」4社、「その他」2社だった。価格を下げるを選んだ企業が、値下げのために行う施策の記述は「仕入れ内容の見直し」だった。