「もっと高くても売れます!」。三起商行は先日、三重県・賢島の研修センターで「賢島商品検討会議」を実施した。成績優秀店の店長をはじめとした店舗スタッフ、商品企画担当者ほか、木村皓一社長、財務や営業責任者など意思決定権のある幹部が集まり、意見を交わすもの。店舗スタッフからは高単価な商品を求める声が多く寄せられ、世界の富裕層をターゲットにするという同社の事業戦略に確信を持つ機会となった。
コロナ禍前の会議では、ベビー・子供服市場の競争激化から、価格をできるだけ抑える方針が企画担当者から告げられていたが、今回は「安くしても、『ミキハウス』らしさがないものがたくさんあっても仕方ない」「デザインが良ければ高くても売れる」といった意見が店舗スタッフから次々に上がった。
「セレモニードレスの売れ筋は3万円。でも、抱っこした時に裾が流れるような8万円のドレスがあれば売れます」「セレモニー用のおくるみは9800円がメインですが、1万5000円でも問題ありません」「海島綿を使用した商品のパッケージのパフォーマンスを上げて欲しい」「高単価な商品がより高く見えるディスプレーを」と、資料をもとに店舗スタッフがプレゼンテーションし、企画や店装の担当者らがその都度「対応します」「その方向で進めます」と応じるやり取りが2日間続いた。
同社は、世界の富裕層向けの販売が今後の成長の鍵として、高付加価値商品の開発や販路の新規開拓に注力している。22年秋冬物では富裕層をターゲットにしたミキハウスの「ゴールドレーベル」を立ち上げ、カシミヤや海島綿など高級素材使いの商品、22万円のダウンコートなどを投入。新販路として、全国各地の有力産院やリゾートホテルでの販売、協業も進めている。
海外では現在91店で販売し、うち56店が中国(4月末時点)。中国での販売価格は日本の1.8倍だが、「価格を気にせず購入する人が多い」と直営の上海・IFCモールの店長も自信を見せる。9月には、英ロンドンの高級百貨店ハロッズ1階のショーウィンドーの展示を手掛ける予定もあり、高級子供服としてのブランディングを強化する。