シブヤ109ラボ所長のトレンド大賞から見るZ世代 SNS疲れで自分をいたわる

2024/11/22 06:25 更新


 今年も「SHIBUYA109lab.トレンド大賞2024」を発表しました。アラウンド20(15~24歳)の若者とノミネート選定を行い、同年代の女性519人へのアンケートを基に発表した結果から、今年の消費ムードを考えます。

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無理はしない

 トレンドから見た24年の若者たちを総括すると、「ウェルビーイング模索の年」でした。今年は「リフレッシュ・ヘルシー・デトックス」という気分転換や自分をいたわるキーワードが目立ちます。例えば、体験部門3位にランクインした「自然界隈(かいわい)」。高原や川などの自然を好む界隈のことです。自然豊かな場所に出向き、癒やしを得ている状態の写真や動画に「#自然界隈」を付けて投稿されることが増えました。

 「メンズトレンド大賞2024」でも、体験部門4位に「上高地」がランクインしただけでなく、ノミネートには「御朱印巡り」「陶芸」など、自然の中で楽しむアクティビティーが多数ランクインしました。

 そして「無理しない・ポジティブ」などの頑張りすぎず前向きなマインドを取り入れたいという意識が見て取れるのも特徴的です。

 ヒト部門を見てみると、4位に動画クリエイターの「コノリリ」やノミネートにはお笑い芸人の「エルフ荒川」など、ポジティブなバイブスやメッセージを発信する〝ギャル〟がランクインしています。

 また、コンテンツ部門のノミネート項目には、ゆるくて自由なキャラクターの「チェゴシム」が入ったほか、SNSミーム部門2位では「風呂キャンセル界隈」などが入っています。「時にはきちんとできていなくても大丈夫」「無理しなくて大丈夫」というメッセージが込められたコンテンツが人気を集めていることがわかります。

コロナ禍経て

 これらの背景には、23年5月の新型コロナ感染症の5類引き下げに伴い、外出やコミュニケーション量が急激に増加したことがあるのではないかと分析しています。

 24年は外出やコミュニケーション量が急激に増えた一方で、SNSからの情報量も変わらず増加し続けました。その反動でやや疲れを感じていたように感じています。

 SNSネイティブである若者たちは、SNSから完全に離れるという選択は難しいかもしれません。それでも、ポジティブなコンテンツやリラックスできる体験を通して疲れを癒やすだけでなく、元気なマインドを取り入れたり、力を抜くタイミングを見つけることで疲れない工夫を試みています。

 今年は若者にとってSNS上の情報やコミュニケーションを取捨選択し、心地の良い距離感を見つける「デジタルウェルビーイング」の必要性を感じた一年といえるのではないでしょうか。

長田麻衣(おさだ・まい) シブヤ109ラボ所長。総合マーケティング会社で、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て現職。毎月200人の若者と接する毎日を過ごしている。好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。

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