今年も『SHIBUYA109lab.トレンド大賞2023』を発表しました。各部門のノミネート項目は23人のアラウンド20(15~24歳)と選定しました。ノミネート選定会議では、若者たちから様々な項目が挙げられますが、彼らの会話の熱量から、各部門における消費のテンションが垣間見えてきます。
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何かしらのヲタ
今年最も印象的だったのは、21年から設置していた「ヲタ活部門」を、今年は設けないと決断したことです。ノミネート選定会議では、若者たちから今年楽しまれた「ネームタグ作り」や「推しケーキ」など、創作ヲタ活を中心に様々なヲタ活方法が挙げられました。
しかし、これまでと比較して挙げられるノミネート項目の量が減少したうえに、昨年から既に同様の楽しみ方が存在しているものが目立ち、新しいものが見受けられませんでした。
SHIBUYA109lab.では17年からヲタ活に関する調査を実施しています。「何かしらのヲタである」と回答する若者が7割以上を占め、当時からヲタ活への高い熱量がありました。推しとの接点が激減してしまったコロナ禍の間でもその熱量は冷めやらず、推しに会えない間に「ヲタ活グッズ」を手作りする「創作ヲタ活」が活発化。そして「何かしらのヲタである」の回答率も年々高まり、22年の調査では8割を超えています。
マンネリ化も
今年の若者の動向を見ていても、ヲタ活に対する熱量は依然として高いことには変わりないのですが、若者にとってのヲタ活が〝トレンド〟ではなく、生活の一部として定着しつつあるようです。
そして企業によるヲタ活をテーマにした商品やサービスの供給量も年々増え、「ヲタ活市場」が成熟したことも考えられます。今年は『SHIBUYA109lab.トレンド大賞2023』の「コンテンツ部門」1位にランクインした「推しの子」をはじめ、「推し」をテーマにしたアニメやドラマコンテンツも増加した年でもありました。
ヲタ活は若者の消費モチベーションの柱の一つとして確立していますが、一方で、ヲタ活の楽しみ方がややマンネリ化してきている状況も見受けられます。インタビューなどでは、グッズ購入などのヲタ活消費が習慣化しつつ、やや惰性で行っている様子も感じられます。来年以降、ヲタ活の新しい楽しみ方を生み出すために若者たちがどんな行動を起こすのか楽しみです。
(繊研新聞本紙23年12月20日付)