シブヤ109ラボでは、3月8日の国際女性デーに向け、Z世代の「生理」に対する意識実態調査を行いました。生理経験がある人・ない人(※ジェンダーの観点から、性別ではなくこのような表記としています)の両方を対象に実施した結果、それぞれの立場での「生理」に対する実態や悩みが浮き彫りとなりました。
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生理との接点は増加
調査結果では、近年は生理に関するニュースやサービス、SNSでの投稿が増加していることで、情報との接点が格段と増えていることがわかりました。生理経験の有無を問わず、意識することは多くなっている印象を受けました。
しかし、長年タブー視されているテーマであることから、周囲と話しにくい、相談しにくいといった悩みは尽きず、さらに「正しく理解すること」へのハードルが高まっているのが課題となっています。
実際に生理に関する話題については、生理経験のある人・ない人どちらも約4割以上が「話しにくい」と感じており、生理に対する理解度についても、生理経験がない人は2割、ある人でも6割にとどまっています。
SNSなどでの生理に関する情報接点が増えたとはいえ、主な情報源は学校や親が圧倒的に多く、生理経験がある人の相談相手も親や友人ですが、インタビューでは「親に婦人科の利用を相談したら反対された」「婦人科と聞くと妊娠のイメージがあるから行きにくい」など、相談が必要な状況になったとしても、相談できる相手が制限されてしまうといった状況が見られます。
一方、生理経験がない人に関しては「理解したいが、距離感に悩んでいる」という現状がうかがえます。「体調が悪い人には声をかけるなど配慮をするように心がけているが、自分が経験したことがないのでわからないことも多いし、どこまで踏み込んでいいかもわからない」という声が複数聞かれました。
「理解の貧困」も
昨今、「生理の貧困」が社会課題として取り上げられていますが、今回の調査の結果から「経済面の貧困」だけでなく、「理解の貧困」に苦しむZ世代もいるという課題が明らかとなりました。さらにそれが自身によるものだけではなく、身近な人の理解不足で起きうることでもあるため、世代や生理経験の有無を問わず、社会全体で正しい知識をインプットしてサポートし合える環境の整備が必要であると感じます。
これまで生理に関する話題はタブーとして取り扱われることが多かったこともあり、Z世代においても生理の話題の取り扱いには慎重な姿勢も含め、多様な考え方が見受けられます。しかし、彼らの考え方の根底にある共通点は「多様な考え方があるという前提のもと、各々が望む選択肢を自分で選べる社会」を望んでいることであり、生理においても多様性を重視し、誰もがストレスフリーで生活が出来る環境の実現が求められています。
生理に関することだけでなく、個人としても、企業としても、家族や一緒に働く仲間、顧客など、周囲に様々な価値観・異なる状況の人が共存しているという想像力を以って人と接することができる人が多くなることが、様々な社会課題を解決へと導く糸口となるのではないでしょうか。