アラウンド20(15~24歳の男女)の間で共通言語となっている〝地雷系〟というワードがあります。インスタグラムで「#地雷」や地雷系の女の子を褒めるときに使われる「#病みかわいい」は、どちらもハッシュタグ件数が9万件を超えており、SHIBUYA109が運営している「やみかわ渋谷(@yamikawa_109)」アカウントのフォロワー数も順調に推移しています。
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涙袋とたれ目
「地雷」はもともと、メンタル面で病んでいたり、愛情表現が重めの女子を指していましたが、今はファッションやメイクのテイストを表すカテゴリーの総称としても使われています。
1年ほど前からTikTokやインスタグラムを中心に取り上げられたことがきっかけとなり、多くのインフルエンサーが〝地雷メイク〟を再現する動画を投稿し、カメラアプリSNOWでも〝地雷フィルター〟が登場するなど、SNSを中心にアラウンド20の間で話題となりました。
地雷系を楽しむアラウンド20に定義を聞いてみると、ファッションでは黒・ピンク・白を基調としたガーリーなテイスト、ブランドで言うと「ロジータ」や「アンクルージュ」、「エブリン」などが挙げられます。メイクは涙袋を強調し、カラーコンタクトは黒目が強調されるように直径が大きめのものをつけ、アイラインでたれ目に見せているのが特徴です。
この他にもサンリオのキャラクターやエナジードリンクの「モンスターエナジー」のピンク缶(通称ピンモン)など、彼らの間で共通認識となっているアイテムが数多く存在しています。これらは世界観が明確であるため、コロナ禍のおうち時間中に非日常を楽しむ手段の一つとしてや、SNSで投稿するネタとしても取り入れやすかったのではないかと考えられます。
SNSでの画像や動画投稿を介してビジュアルコミュニケーションをとる彼らにとって、このように要素が明確であり、再現しやすいことは重要なポイントです。
ヲタ活で地雷系へ
また、地雷系ファッションを始めたきっかけについては、ヲタ活を挙げる人が多いのも特徴です。メジャーな男性アイドルやメンズ地下アイドル(通称メン地下)ヲタ、アニメ・漫画ヲタ、2.5次元俳優ヲタなど、幅広いコンテンツのヲタに、地雷系女子の姿が見られています。
〝推し〟のライブなどの現場でヲタたちの服装に地雷系や量産型(量産型は地雷系と近しいテイストですが、白・ピンクを基調とした、よりガーリーなファッションを指します)が多かったことから、「制服」のような感覚で取り入れていることが分かります。
地雷系に限らず、ファッションやメイクのテイストは今のアラウンド20にとってコミュニケーション手段の一つです。ヲタ活の日は地雷系、学校の友達と会うときはストリート系など、訪れる場所や会う人に合わせてファッションテイストを使い分けています。その時の気分を〝共有〟するのに最適なものをチョイスし、自己を表現していると言えます。
(繊研新聞本紙21年3月17日付)