7月に参議院選挙が控えているなか、彼らの政治に関する意識を調査しました。若者の投票率の低さは社会課題になっています。しかし、コロナ禍で自身の生活と政治が地続きであると実感したことが影響し、Z世代の政治に対する関心は昨年に続き高い傾向にありました。
【関連記事】シブヤ109ラボ所長のZ世代のお金と投資に関する意識 安定維持へ「分散」でリスク回避
今回の調査で非常に印象的だったのは、彼らの情報と向き合う姿勢です。約6割が日常的に政治に関する情報収集をしているという結果となり、情報収集にあたり何らかの形で気を付けていることがあると回答した人は約8割に上りました。
ニュートラルでいたい
気を付けていることとして最も多いのは「情報発信源を確認する」ですが、次いで「偏った情報にならないように様々な意見を確認する」「一般の人の声も確認するため、ニュースのコメント欄やSNSでの反応を見る」が続き、情報収集においてバランスをとっている実態が分かります。
政治に限らず、Z世代は情報の正誤を慎重に判断する、非常に高い情報リテラシーを持っています。彼らは情報を判断するだけでなく、SNSも含めた複数メディアを駆使し、同時に他者の意見も確認することで、多角的な視点で情報に向き合う環境を実現しています。
Z世代は様々な議題における自分のスタンスはニュートラルでありたいという意識があり、自分の意見について伝える際も、あくまで多様な意見の中の一つの意見であるという前提の姿勢が見受けられます。私たちがインタビューの中で彼らに意見や評価を求めた際も、多くのZ世代が「あくまで個人的な意見ですが…」「みんなに当てはまるか分からないけれど…」という前置きをしたうえで話し始める人が多く、発言に慎重な様子が多くみられています。
押しつけはリスク
彼らは自分の意見を持ち、掲げることよりも一つの事柄に関して生まれている意見の種類をより多く認識することに重きを置いているのです。
Z世代のこのような意識の背景には、彼らがSNSで日々様々な価値観や考え方に触れられる環境で生まれ育ったこと、また常に他人とゆるくつながっていることから、周囲からの目に対する意識が高いことが関係しています。多様な意見が存在・共存していることが当たり前であり、自分の意見もその中の一つである。だからこそ、相手に押しつける形になってしまうことに対して、大きなリスクを感じているのです。
様々な事象に対して、常にニュートラルであろうとする姿勢が特徴的なZ世代。政治に対しても、社会の変化や多様な価値観に目を向けられる視野の広さとバランス感覚を求めているのではないでしょうか。