約2週間後に迫った3月1日は22年卒に向けた就職活動の解禁日となり、就職活動のナビサイトや企業の説明会のプレエントリーが開始されます。企業の人事部の方々も22年卒の学生を迎え入れる準備を進めているのではないでしょうか。
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没個性化が悩みに
就活中のアラウンド20(15~24歳の男女)を対象に、コロナ禍で新たに取り入れられているオンライン選考への対応を調査しました。
オンライン選考は学生側のメリットとして、「地方の企業の面接は時間も交通費もかからずよかった」「自室から参加することで、リラックスして話すことができた」など、交通費や時間、緊張の軽減・節約につながったことで、効率的な就活が実現できたことが挙がっています。面接は画面に映る場所だけが〝戦闘領域〟となることから、志望動機や伝えたいことをメモしたカンペを用意したり、上半身はスーツ、ボトムはパジャマで参加するなど、最大限に自分の力を発揮できる環境作りにいそしんでいます。
一方でデメリットは、「対面で話さないと自身の意思が伝わりにくいと感じた」「実際に企業に訪問する機会がなく、どのような環境で働いているのかよく分からなかった」と、オンラインで人柄や思いの強さが均一化されてしまい、〝没個性化〟してしまうことに苦戦したという声が多く聞かれます。
彼らはこのようなデメリットを少しでもカバーするべく、リアクションを大きくとったり、顔色が明るく見えるようなライティングや背景に映る空間にもこだわるなど、行動と環境の両面で様々な工夫をしています。オンライン選考で熱意や雰囲気を均一化させないことは、企業側も意識して取り組む必要性があります。就活生が苦戦しているということは、企業もまた同様に社風や事業における魅力が十分に伝わっていない可能性があるからです。
手厚いケアが大切
アラウンド20の男女400人を対象としたウェブ調査では、企業選びにおいて「勤めている人の雰囲気が良いこと」が最も重視されている結果となり、彼らはその実態を確認するために、これまではインターンへの参加やOB・OG訪問なども積極的に行っていました。
しかし、そのすべてがオンラインに切り替わったことで、彼らが求めている情報が満足に収集できているかというと、必ずしもそうではありません。実際に21年卒の学生の中にも、「内定はもらったが、オフィスに行ったことがないのでどんな雰囲気の企業なのか分からず不安」という声も聞かれており、採用後にギャップを感じ、モチベーションに影響を及ぼす可能性もゼロではないと感じます。
引き続きオンラインでの選考が主軸となることが予想される今、企業においては、求める人材とのマッチングや確保のために、説明会や選考時に連絡をこまめに取るなど、学生への手厚いケアやフォローがより重要になります。
アラウンド20の就活における情報源もユーチューブやツイッターを中心としたSNSであるため、企業説明の動画配信など、企業側からのSNS発信の強化を求める声も多く聞かれています。オンライン上での積極的なアクションで彼らとの接点を増やすことは、就活生の安心感や企業に対する信頼の向上につながります。