【専門店】実店舗だからこそ売れる!丁寧な接客と独自のノウハウでファン拡大
地域密着のレディス専門店にとって、パンツは店のファンにつなげる重要なアイテムだ。サイズ感や着心地を実際に試着室で履いて購買を判断したい客が大多数のため、実店舗ならではのノウハウが必要になる。丁寧な接客を通じて店への信頼を得て、顧客の拡大や来店頻度を向上している事例を紹介する。
対話と知識で接客 「ゆるくて楽」より履き心地
ブティックシンキ京田辺店
京都府下を中心に、ミセス、ヤングミセス向けのセレクトショップ30店を運営するシンキ(京都府宇治市)の中で、ブティックシンキ京田辺店はボトムの販売力がひときわ強い。客の感覚に沿いつつ、適切なサイズをアドバイスすることが、信頼を獲得できる絶妙なポイントであるという。
SCのアルプラザ京田辺内にある同店は、顧客中心の地域密着型で、客層は50~70代。各店仕入れが基本で、同店は関西アパレルのローブ、セモア、ライヴ、カロ、レスピーギなどを扱う。アイテム別売り上げ比率はボトム50%・トップ20%・靴・雑貨30%で、ボトム内訳はパンツ70%・スカート30%。
数年前まではパンツが90%を占めたが、徐々にスカートが伸びている。パンツはワイド系が中心。年齢が高くなるとO脚が目立ちやすくなるので、それを隠すワイドパンツの人気はしばらく続くと見る。
販売員として20年以上のキャリアを持つ今西陽美マネジャーがボトムのお薦めで最優先するのは試着だ。試着室の利用率は、全体の販売に貢献するため特に力を注ぐ。薦める商品はガウチョ、デニム、ナチュラル系を問わず、スタッフが着用しているものが軸。会話が弾みやすいという。
面白いノウハウが、客が脱いだ靴のサイズを確認して、店内で販売しているシューズを用意すること。試着室にサンダルを用意している店もあるが、「服の提案はトータルコーディネートで見せることが大切」と、必ず試着中のボトムに合うジャストサイズの靴を準備する。同店では靴も良く売れるという。
試着後の課題はサイズ感で、販売員としての腕の見せ所になる。楽に着たいとウエストに余裕を持たせすぎたり、太ももがだぶつくものを自分に合うと思い込む客も多いが、「一度きちんとしたサイズを着用して見た目に満足すれば、フィットしたボトムを好むようになる」と今西さん。接客で得た信用で客が客を呼ぶ例が生まれる。
肌に触れる部分が多いパンツは、素材感も重要な購買要素。ネットやテレビショッピングでの購入経験がある客は、サイズだけでなく素材への不満をもらす人が多い。
サイズ直しなどアフターフォローも発生しやすく、十分な対話ができるパンツは、まさに実店舗向きの商材だ。
(繊研新聞本紙19年2月7日付)