「言葉」で振り返るファッション業界~22年9月編~

2022/10/20 10:58 更新


繊研新聞が日々発信するニュースには、経営者やデザイナー、職人、販売スタッフなど、様々な人々の「言葉」が満ちています。

 【「言葉」で振り返るファッション業界】では、熱のこもった言葉たちをひと月ごとに振り返り、ご紹介します。

〝作りすぎない〟という考え方は徐々に広がっている

スペイン靴工業会マーケティング・国際事業開発担当ディレクターのイマノル・マルティネスさん


 スペイン大使館経済商務部との共催で2年半ぶりに合同展を開いた。スペイン製靴の輸出は、パンデミック(世界的大流行)の落ち込みから回復してきた。しかし、欧州域内の素材を使うスペインメーカーでも生産・物流コストの上昇の影響が出そうだ。様々な中間マージンを省く努力やサプライチェーンのデジタル化などと並び、将来を見据えたサステイナビリティー(持続可能性)は不可欠な課題だ。生産・在庫量を調整する考え方は広がりつつあるという。

(繊研新聞本紙22年9月6日付3面)

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うちの値上げは他社とは違う

三起商行社長の木村皓一さん


 「ミキハウス」の価格の3倍の「ゴールドレーベル」の販売を始めた。円安やコスト高からではなく、世界的な高級子供服ブランドになるためだ。良い物を安くとの考えに固執する社内に、高級路線を繰り返し説いた。ゴールドレーベルは客単価の向上に寄与して順調な滑り出し。値上げで円安やコスト高の影響も吸収しているが、あくまで「たまたま」と見る。

(繊研新聞本紙22年9月9日付1面)

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ライブコマースは熱量が伝わる

フューチャーショップ社長の星野裕子さん


 コロナ下で苦しむブランドのライブコマースに立ち会い、ファンの応援がブランドを提供する側に勇気やパワーを与えることを知り得た。小売業の販売方法が大きく変化し、ネット接客も欠かせない。まだ歴史の浅いライブコマースだが、双方向の生中継だからこその、ブランドへの愛情が明示できる販売手法に大きな可能性を見る。「強く愛されるブランドこそ、ライブコマースすべき」と支援サービスの提供を始めた。

(繊研新聞本紙22年9月16日付8面)

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あらゆる境界について考えさせる

「ユウビカワノ」デザイナーの河野有実さん


 留学先のロンドンで、男女の理想像にとらわれない自由さや奔放なランジェリーのとりこに。主宰する「ユウビカワノ」はセクシャルなイメージだけにとらわれたくない。「『洋服とランジェリーの間』と提案することで手に取りやすくなるのでは」と〝クロージェリー〟(クローズとランジェリーからの造語)を提案する。従来の美の理想像を含め、様々な固定観念を覆していく気配がある。

(繊研新聞本紙22年9月26日付9面)

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異質な存在であり続けたい

砂山靴下社長の砂山直樹さん


 女性の美容や健康を切り口としたレッグウェアや快眠商品などを企画・開発し続け、創業60周年を迎えた。異質な企業体であることが唯一、会社を守る方法だとして歩んできた。今期のテーマは固定観念を捨てること。「円安だからもうからない、円高だからもうかるというのも固定観念」とする。円安には価格ではなく、価値に対して底力を持つ企業が強いという。

(繊研新聞本紙22年9月30日付10面)

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